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さらば愛車[なかのとおるのええ加減でいきまっせ!(317)]

No.5027 (2020年08月29日発行) P.65

仲野 徹 (大阪大学病理学教授)

登録日: 2020-08-26

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愛車(16年もののプリウス)を手放した。以前は自動車通勤をしていたのだが数年前にやめたし、ドライブで遠出することもあまりない。この1年で使ったのは、ほとんど近所のホームセンターへ行く時だけ。経費を考えると維持するのがアホらしい。

わたしにとって3台目の車だった。一生でたった3台というのはちょっと寂しい感じもするが、さして自動車好きではなくて、単なる「足」と考えるようなタイプとしては、こんなものかという気もする。

その前に乗っていたのは、スバル・レガシィのワゴンだった。25年前、教授に就任した時、自動車通勤を主な目的に買った。でも、そのころは子どもが小さかったので、けっこうあちこちへの遊びに使っていた。

最初の車は、ハイデルベルク留学時代のフォルクスワーゲン・ゴルフ。お手頃なオートマチックの中古車がなくて、結局、オレンジ色の車を買うことに。えらく目立つので、慣れるまではちょっと恥ずかしかった。

日頃は近所への買い物だけだったけれども、1年半くらいで2万キロ以上は走った。妻と小さな娘2人といっしょに、愛車でこまめに小旅行に出かけたのが懐かしい。

ヨーロッパは意外と狭い。ドイツの南西部に位置するハイデルベルクからだと、花の都パリへも、スイスアルプスの名峰ユングフラウ山麓にあるグリンデルワルトへも5時間程度で行ける。今週末は天気がよさそうだからスイスアルプスへハイキングに、などと、夢のような生活だった。

うんと遠出したことは2回あって、プロバンスとトスカーナ。どちらも1週間程度のドライブ旅行だったが、本当に楽しかった。自動車泥棒にあったトラブルまでもが良き想い出のひとコマになっているほどだ。

本庶佑先生をはじめ、訪問される大先生方の足としても大活躍。古都ローテンブルクまでの1日観光ドライブが定番で、何人をお連れしたことかわからない。

ゴルフが1年半、レガシィが9年、プリウスが16年だが、ゴルフでの想い出が圧倒的だ。車そのものというよりドライブについてだけれど、どうしてこんなによく覚えているのかが不思議である。今から思えばものすごい贅沢なことだったのに、その当時はまったく気づいていなかった。人生っちゅうのはそういうものなのかもしれませんなぁ。えらい歳を取りましたわ。

なかののつぶやき
「5年くらい前から、ずっと車を買い換えようかと思案していたけれど、次第に乗らなくなって、結局は手放すことに。これからはたまに必要な時はカーシェアリングを利用するか、それともレンタカーにするか。あるいは、めったに運転しないとなると危なそうなので、もう免許証も返上するか。どうするかなぁ、と思いながら、ずるずるとまた5年くらいたちそうです」

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