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クループ症候群[私の治療]

No.5020 (2020年07月11日発行) P.48

安戸裕貴 (山口大学大学院医学系研究科医学専攻小児科学講座講師)

登録日: 2020-07-10

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  • クループ症候群とは,声門下の気道粘膜・気道組織の炎症性浮腫により吸気性喘鳴,犬吠様咳嗽,嗄声等の症状を呈する疾患群の総称である。上気道のウイルス感染症で生じることが多く,上記症状以外に,発熱,カタル症状を伴う。原因ウイルスとしてはパラインフルエンザウイルスが一般的であるが,RSウイルス,インフルエンザウイルス,アデノウイルスなど,他のウイルスが原因となることもある。ウイルス性は,一般的に予後は良好である。細菌性として,急性喉頭蓋炎,喉頭ジフテリア,細菌性気管支炎が重要である。細菌性はきわめて稀であるが,死亡する危険性が高いため,注意を要する。

    ▶診断のポイント

    【症状】

    発熱とともにカタル症状を呈した上気道感染症に加えて吸気性呼吸障害・吸気性喘鳴があり,犬吠様咳嗽・オットセイ様咳嗽を認める場合には本症を疑う。流涎,発語困難などの症状がある場合は,急性喉頭蓋炎,咽後膿瘍,喉頭異物など,他の疾患を疑う。

    【検査所見】

    頸部X線正面像で声門下の狭小所見(steeple sign)が認められる。さらに,側面透亮像で喉頭蓋の腫大,披裂喉頭蓋襞の腫大,喉頭腔の拡大がないことを確認する。側面透亮像で下咽頭腔・喉頭腔の拡大と喉頭蓋・披裂喉頭蓋襞の腫大が認められる場合は,急性喉頭蓋炎を疑う。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    来院時の呼吸状態などを参考に,病態の重症度を評価し,重症度評価に沿った治療対応をしていく。軽症の小児は,水分補給と解熱薬を用いて在宅で看護してもよい。疲労および啼泣で病状が悪化しうるため,患児の環境を快適に保つことが重要である。呼吸窮迫の増悪または持続,頻脈,疲労,チアノーゼ,低酸素血症,または脱水を呈する場合は,入院の必要性があると判断する。パルスオキシメトリーは重度の症例の評価およびモニタリングに役立つ。酸素飽和度が95%未満の場合は,加湿酸素を投与する。また,等張液輸液も開始する。

    呼吸不全を疑う場合は,動脈血ガスを測定すべきである。通常は30~40%の吸気酸素濃度が適切である。動脈血ガスCO2が45mmHg以上である場合は,気管挿管の準備をしておく。また,重篤な呼吸障害を認める場合には,専門医療機関〔小児集中治療施設(PICU)〕に転院させるなどの,より集中的な治療を想定した対応を行う。特に急性喉頭蓋炎の場合は,麻酔科医,耳鼻科医と連携し,気道閉塞の場合に備え,気道確保の準備をする。

    アドレナリン吸入は,2時間ごとの投与によって症状が緩和し,疲労も軽減する。しかしながら,効果は一時的であり,疾患の経過,基礎のウイルス感染症,およびPaO2は改善されない。頻脈および他の有害反応が起こることもあるため,パルスオキシメーターを装着する。また,1~2回のアドレナリン吸入で反応が悪い場合には入院加療を行い,吸気性呼吸障害をきたす疾患(急性喉頭蓋炎,気道異物など)を除外していく必要がある。

    デキサメタゾンの経口投与(0.15~0.6mg/kg/回)は,抗炎症作用による浮腫の軽減効果を期待して用いる。入院治療であれば,デキサメタゾン静注(0.15~0.6mg/kg/回)を行う場合もある。

    クループ症候群を引き起こすウイルスは通常,二次的な細菌感染を引き起こさないため,抗菌薬が適応となるのは稀である。ただし,初期対応時の検査結果で白血球増多,CRP上昇など細菌性感染の可能性が疑われる場合は,抗菌薬の適応と考えてよい。また,急性喉頭蓋炎であれば,インフルエンザ菌の耐性状況を考慮して,セフトリアキソン,セフォタキシムなどの注射薬を用いる。

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