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新型コロナな日々 part 3[なかのとおるのええ加減でいきまっせ!(303)]

No.5013 (2020年05月23日発行) P.68

仲野 徹 (大阪大学病理学教授)

登録日: 2020-05-20

最終更新日: 2020-05-19

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10年ほど前から、テレビ体操を日課にしている。その延長でもないけれど、コロナな日々が始まってからは、徒歩10分ほどの公園でラジオ体操に参加している。その公園、毎朝6時半になると、スピーカーから自動的にNHKラジオ第2放送が大きな音で流れてくる。近所迷惑な気がするが、昔からのシステムとかで受けいれられているのだろう。

40m四方くらいの広場を大きく取り巻くように、50人ほどが体操をする。厳密には望ましくないのかもしれないが、隣の人とは5メートル以上も間隔をあけているし、オープンエアだから大丈夫だろう。

参加者は男女ほぼ同数である。平均年齢は高くて、多くの人は(推定)70歳以上。みなさん熱心で、ほとんどの方は毎日来ておられるようだ。会場によっては仕切り役がうるさい所もあるらしいが、その公園では、まったく自由に三々五々と体操をする。

ラジオ体操の番組構成はテレビ体操に比べるとシンプルで毎日同じ。「♪新しい朝が来た、希望の朝だ…」というラジオ体操の歌から始まり、簡単な屈伸運動とかがあって、ラジオ体操第1、それから首のストレッチ、ラジオ体操第2へと続く。

なかなか爽やかだ。特に胸を反らす運動の時など青空が大きく目に入って、あぁ今日も一日がんばろうという気がしてくる。

終わった後、大きな声で「ありがとうございました」と叫ぶ(?)人がいるのもおもしろい。真似をしようと思うのだが、なかなかその域に達することはできない。

終了後は、約1時間の早足散歩である。定番は、さらに歩いて10分ほどの花博記念公園鶴見緑地だが、そこばかりだと飽きてくる。なので、近所の道をなめるかのようにくまなく歩き回っている。

5つのお宮さんをローテーションでお参りしては、コロナ退散祈願にかなりのお賽銭を使っている。道と違って、境内ですれ違う人はみなさん、おはようございますと挨拶されるのが気持ちいい。下町なのでやたらとお地蔵さんが多いが、そのどれもがきれいに祀られているのもとても嬉しい。

ノンフィクションライター・髙橋秀実さんの『素晴らしきラジオ体操』(草思社文庫)という本がある。そこで髙橋さんは、ラジオ体操を「世界遺産に登録したいくらい」と書いておられる。公園でラジオ体操をやっているとホンマにそんな気がしてきますわ。

なかののつぶやき
「小学校の林間学校で高野山に行った時、ちょうど夏期巡回ラジオ体操がやってきて、景品に落書き帳をもらったのをよく覚えてます。かように、昔はラジオ体操といえば子どもというイメージでしたが、いまはすっかり老人のレクリエーションです。たまに子どもも公園に来てラジオ体操をしてますけど、けしからんことに、老人に比べてまったく気合いがはいってない。これでは日本の将来がちょっと暗いかもしれません」

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