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スケッチなんかいらんやろ [なかのとおるのええ加減でいきまっせ!(18)]

No.4715 (2014年09月06日発行) P.75

仲野 徹 (大阪大学病理学教授)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-03-27

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  • 自分が間違えているのか、世間が間違えているのか。正しいと確信しているけれど誰にも受け入れられない意見、というのをいくつか持っている。

    解剖学や病理学の教育におけるスケッチ不要論もその1つである。絵が下手な者のひがみと思われるかもしれないし、実際そうかもしれない。

    が、かくいう私であっても、自分が医学生であった時代、40年近く前にはスケッチが必要だったと思っている。なぜか? カラー写真がなかったからである。

    その時代、スケッチの目的は2つあったと思う。1つは、スケッチさせるとよく観察するから。もう1つは、スケッチそのものが、後から自分の教材になるから。

    カラー写真が載っている本はほとんどなく、あったとしても、むちゃくちゃ高価であった。教科書には質の悪い白黒写真がちらほらとあるだけ。下手なスケッチでも、ないよりはるかにましだった。

    今は違う。美しいカラーの本があふれている。それどころか、グーグルで見たい組織の名前を入力して、『画像』とクリックしたら、いやというほど写真が出てくる。

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