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難治性皮膚疾患“皮膚瘙痒症”[プラタナス]

No.4996 (2020年01月25日発行) P.6

安部正敏 (医療法人社団廣仁会 札幌皮膚科クリニック院長/ 褥瘡・創傷治癒研究所)

登録日: 2020-01-25

最終更新日: 2020-01-22

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  • “かゆみが止まらない!”皮膚科診療でよく聞く訴えである。目の前には、他の医師がホトホト対応に困ったのか流れ流れて筆者の下へたどり着いた精神神経科併診の女性である。大学勤務時代、この手の患者を好んでいたため嬉々としたが、さて困った。皮膚科診療は患者の皮疹を分析し正しい診断の下治療を行うが、皮膚科医泣かせがこの“皮膚瘙痒症”である。「明らかな皮疹がなく瘙痒を有する」がこの疾患の定義であり、患者が“かゆい!”と言う限り診療を継続せねばならぬ。如何なる外用薬、更なる内服薬をも強固に跳ね返す彼女の症状は、意味不明の言動も相俟ってなかなか診療を終了することができず長時間を要した。

    そこで一計を案じ、まったく頓珍漢な診療を行うこととした。ある時は「親鸞は言う。人間とは弱いものだ」と説き、出鱈目なお経をあげたところ、彼女は感涙噎び、「心が落ち着いた」と言い、筆者を拝んで速やかに帰った。この成功を受け、ある時は手品をした。単にペンを上下に揺らすだけであるが「曲がった!」と目を丸くしてあっという間に帰った。またある時は「整いました!軟膏とかけましてアベックと解く。その心はどちらもべたつきます。まさっちです!」などと言うと、「アベックはイチャイチャだ!座布団とっちゃえ!」と疾風の如く帰っていった。もはや、かゆみの診療などする暇もない有様である。

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