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総合診療医のある一日[炉辺閑話]

No.4993 (2020年01月04日発行) P.25

大橋博樹 (多摩ファミリークリニック院長)

登録日: 2020-01-02

最終更新日: 2019-12-20

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地域のニーズに徹底的に応えたい。この思いで開業して10年になる。

医師4名で外来と在宅診療を行っている。朝7時に出勤し、1日の業務が始まる。最も静かで集中できる時間だ。8時から在宅患者の夜間の申し送りを行い、9時から外来診療を開始する。

今日初めの患者は8カ月児の初めての発熱。第1子であり、母の不安も強い。幸い中耳炎が原因で、機嫌も良好であり、内服を処方し帰宅となった。2人目の患者は、86歳、男性。気管支喘息で通院中だが、アドヒアランスも良好で安定していた。しかし、1カ月前から発作で度々受診するようになった。なぜ、増悪したか?最愛の妻を亡くして、すべてにやる気が起きなくなったのだ。看護師とともにグリーフケアと臨時の自宅訪問の方針を決めた。その後も、子どもの風邪から高齢者の介護の相談まで、ありとあらゆる問題が診察室に持ち込まれる。

午前の診療の後は自転車で区役所へ。介護認定審査会に出席し14時に帰院。乳幼児健診の時間だ。「ずり這いができないけど大丈夫?」「卵は早くから食べさせたほうがいいの?」など、さながらお母さんの相談室であるが、今日は保健師からの依頼で、育児ノイローゼ疑いの母と面談し、メンタルケアの必要性を説明する場面もあった。

15時には訪問診療へ。今日は寝たきりの76歳、女性を新規で診て欲しいとの依頼。76歳で寝たきり?訪問すると、元々パーキンソン病で療養中であったが、大腿骨頸部骨折で入院・手術し、自宅に戻ったものの、内服薬は夫が取りにいくだけで、本人は未受診だったとのこと(内服調整と訪問リハビリで、その後車椅子レベルに回復した)。

夕方クリニックに戻ると、包丁で手を切った患者さんが来院した。15分で縫合処置。19時まで息つく暇もなく1日が過ぎていく。

幅広さと変化のある毎日が、本当に楽しい。楽しむためにも、幅広い診療能力と介護・福祉・予防の理解が必須である。総合診療専門医制度が構築される中で、当院でも若手医師の研修が始まった。地域のニーズにしっかりと応える人材が、現場から育成されることを強く希望している。

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