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【書評】『臨床で使える!甲状腺疾患診療のテキスト』『甲状腺疾患診療のテキスト』を拝読して

No.4988 (2019年11月30日発行) P.64

赤水尚史 (和歌山県立医科大学内科学第一講座教授)

登録日: 2019-11-27

最終更新日: 2019-11-26

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この度、深田修司先生編集による「臨床で使える!甲状腺疾患診療のテキスト」が発刊された。深田先生は8年前jmedmookに「外来でどう診る?甲状腺疾患」という名著を出版されているが、それを土台として新たな項目や最近の知見が数多く加えられている。

とりわけ興味深いのは、同じテーマについて複数の執筆者に書いて頂いていることである。「実地臨床は教科書通りにはいかないものであり、医師それぞれによって当然見解の相違があります」と序文で述べられているように、臨床における重要な点のひとつを見事に突いている。昨今の「診療ガイドライン」が平均的かつ画一的な診療を提示しているのに対して、本書はあくまでもリアルワールドの診療を念頭に置いて、匠の技を示そうとしていると言えよう。「千日の勤学より一時の名匠」という諺を想起するような秀逸かつ贅沢な内容になっている。

しかも、全体の構成は網羅的であると同時に多数のクリニカルクエスチョンが散りばめられ、甲状腺疾患診療の基本が容易に理解できるとともに実践的でもある。また、深田先生のストレートかつ骨太な御性格を反映した明解かつ重厚な内容である。何よりも編者がめざす「甲状腺疾患って、こんなに面白いのか!よし、ひとつここはさらに勉強してみよう」という目標を間違いなく達成されることであろう。甲状腺診療を専門とする筆者にとっても誠にうれしく有難いことである。最後に、このようなユニークな面を多く有する良書が、できるだけ多くの人に読まれ、甲状腺疾患診療の質の向上に資することを願って筆を置く。

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