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ラグビーW杯観戦(上)[なかのとおるのええ加減でいきまっせ!(273)]

No.4981 (2019年10月12日発行) P.65

仲野 徹 (大阪大学病理学教授)

登録日: 2019-10-09

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ラグビーW杯、ずいぶん前に大阪・花園ラグビー場のチケット4試合分を予約した。それはいいんだけれど、出張やらなんやらで結局は2試合しか行けないことに。

もったいないから誰か代わりにと探していたら、87歳の母親が行きたいと言う。は?ルールも知らんのに…。でも、結局は行くことになって、雰囲気を十分に味わえたと大喜び。思わぬ親孝行ができた。

ついで、予期せず神戸でのイングランド対米国の試合にお招きいただいた。某臨床科にイングランドからのお客さんがあり、接待(?)に行くとのこと。先生、ラグビー部の部長ですし、よろしければとお誘いいただいた。よろしいに決まっておる。

なんと、とても高価なプラチナチケット!試合前には、ゴール裏にあるホスピタリティールームで軽食と飲み物が振る舞われる。200人くらいだろうか。約半分が外国からのお客さんで、むっちゃええ感じ。

もちろん最高の席での観戦。さすがはW杯、スタンドでは外国語のほうがたくさん聞こえるほどだった。我々はイングランドのユニフォームを着用での観戦だ。

世界での順位はイングランドが3位で米国が13位、相当な実力差である。残念ながら、それを如実に反映してイングランドが7つものトライをあげて45対0に。

かなりトホホな展開であったが、最後のプレーで米国がトライを決めた。沈黙を強いられていた米国人たちは歓喜爆発!それだけでなく、イングランドファンも含め、スタンド総立ちの大拍手だった。

試合後もホスピタリティールームで一杯。そこで、イングランドのユニフォームを着ているおじさんとお話。てっきりイングランドの人かと思ったが、聞けばアルゼンチンからやってきたとのこと。

アルゼンチンもイングランドや米国と同じC組である。そのおじさんはC組の試合をずっと見て回っていて、母国の出ない試合では、出場している国どちらかのユニフォームで応援しているそうだ。

アルゼンチンと英国といえば、1982年にフォークランドで戦争した因縁の仲ではないか。しかし、そんなことは関係ないのである。米国チームへの大拍手といい、このおじさんの応援スタンスといい、とっても素晴らしいラグビー精神を見せてもらえたような気がして、ちょっと感動。

なかののつぶやき
「神戸ノエビアスタジアム、ホスピタリティールームからの景色です。試合はちゃんとスタンドに移っての観戦」

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