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午後から在宅へ~がん拠点病院からのアウトリーチ~[プラタナス]

No.4975 (2019年08月31日発行) P.3

冨安志郎 (佐世保市総合医療センター緩和ケア科部長)

登録日: 2019-08-31

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  • 「明日は自分の作った山小屋があるのでそこで診察してくれませんか?」。60歳代の進行前立腺がんのAさんからお電話をいただいたのは山桜が終わりかけの3月下旬、訪問診療を開始して4カ月が過ぎようとしていた頃でした。

    Aさんは前立腺がんの診断から2年間、ホルモン治療、抗がん剤治療を受けましたが、硬化性骨転移が進行してしまいました。下位胸椎転移進行に伴う横断性脊髄麻痺が出現し、骨転移と神経圧迫に伴う胸背部痛が増強したため、緩和ケア科を紹介受診されました。奥様と二人暮らしで通院や在宅療養に支障をきたしておられたので、苦痛症状緩和と生活サポートを目的に、訪問看護とともに訪問診療を開始することにしました。病状は徐々に進行し、褥瘡、腫瘍熱などに悩まされる時期もありましたが、生活の工夫を奥様と行いながら、自宅での療養を継続されていました。

    訪問当日、介護タクシーの後をついて行くと、山桜に囲まれたレンガ造りの素敵な建物にたどり着きました。診療後、コーヒーを飲みながら「退職後はここで米軍の将校向けに喫茶店を開こうと思っていたんだよ。今となっては無理だけど、それはしょうがないと思っている。今日は山桜を見られてよかった」。そんな話をして下さいました。

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