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感染症対策の近未来[特集:医療の近未来予想図]

No.4958 (2019年05月04日発行) P.26

大曲貴夫 ( 国立国際医療研究センター病院副院長 (感染・国際・教育・患者サービス担当)/AMR臨床リファレンスセンターセンター長)

登録日: 2019-05-01

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  • 私は今年、感染症医となって15年目を迎えたが、感染症医となって以降一貫して薬剤耐性対策に取り組んでいる。抗菌薬というものは大変不思議なものである。他の薬剤とは全く違う。抗菌薬の使い方を間違えれば耐性菌が出現する。その結果感染症の治療には抗菌薬が使用できなくなる。他の領域で使われる薬剤ではこういうことは起こらない。薬剤を使っても使っても効果が失われるという事はない。しかし抗菌薬に関しては、使い方を間違えれば、耐性菌ができることによって効果が失われていく。あたかも有限な資源のような存在である。

    ならば、新しい資源とも言うべき新規抗菌薬の出現に期待すればよいのではないか、と言う声が聞こえてくる。しかし新しい抗菌薬がなかなか出てこないという厳しい現実がある。理由としては、抗菌薬の開発にかかる研究はかなり詰められており、新規の作用機序による抗菌薬が出てくる見込みが立てにくいという技術的な問題が一つある。もう一つの理由は、抗菌薬の開発にかかるコストが莫大であるにもかかわらず、企業が回収できるほどの収益が現在の社会の仕組みでは得られないからである。このままでは新しい抗菌薬は世に出てこない。一方で感染症は決してなくならない。この矛盾を乗り越えなければ、やがて耐性菌が猛威を振るうことにより感染症の治療に難渋するという時代が来てしまうことになる。

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