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こうなっていてほしい、精神疾患に伴う生きづらさの改善[特集:医療の近未来予想図]

No.4958 (2019年05月04日発行) P.22

池淵恵美 (帝京平成大学大学院臨床心理学研究科教授)

登録日: 2019-05-01

最終更新日: 2019-04-25

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  • 筆者は統合失調症のセカンドオピニオン外来を行っている。そこでは「ずっと薬を飲んでいるし、入院治療も受けているが、もっと良くならないのだろうか」という相談が多い。薬物療法により幻聴などの精神症状が治まっていても、再発のリスクがあり、また「生きづらさ」があって、仕事や勉強や家庭生活が思うようにできなくなってしまうからである。この「生きづらさ」は障害(disability)と呼ばれており、精神障害リハビリテーションの考え方で言えば、「障害を可能な限り改善すると共に、障害の程度にかかわらず、その人なりの満足のいく社会生活を可能にする」ことが目標となる。先進諸国では、障害を持つ人への社会の整備が進んでおり、わが国でも障害者雇用が制度化されている。しかしわが国の多くの公的な機関で、障害者雇用率が法定基準を満たしていなかったことが報道されたことは、まだ耳新しい出来事である。

    社会の整備は進んでいるものの、当事者の人たちや家族は「生きづらさ」についての負担感や悩みをまだまだ強く持っている。「もっと良くならないだろうか」ということである。精神疾患に伴う障害(disability)の本態が十分に解明されておらず、したがって原因治療が発達していないことがその背景にある。それは、脳が複雑な臓器であり、どのようにして人が人らしく社会の中で生きていけるのか、そのためにどのように脳が機能しているか、ということがまだ十分に解明されていないからである。精神疾患によって仕事ができなくなったり、周りの人とうまくコミュニケーションができなくなってしまうことは、偏見にさらされる原因ともなってきた。

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