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統合失調症における大規模なGWASと今後の展望

No.4948 (2019年02月23日発行) P.53

足立 祥 (兵庫医科大学公衆衛生学)

島 正之 (兵庫医科大学公衆衛生学教授)

登録日: 2019-02-26

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【新規標的に対する創薬や予防への応用に期待】

統合失調症は主として思春期に発症し,特徴的な思考障害,自我障害などを主徴とする精神疾患である。原因は不明であるが,遺伝的な要素が強いとされてきた。薬物療法に用いられる抗精神病薬は,ドパミン受容体タイプ2(DRD2)を阻害することで症状が軽減されると考えられている。60年以上前にこのターゲットが発見されて以来,他の標的分子に基づく治療薬は開発されていない。

国際共同研究により3万8131名の統合失調症患者と11万4674名のコントロール群を対象に行われたゲノムワイド関連解析(GWAS)1)では,統合失調症との関連が確実な108の遺伝子座が同定され,統合失調症は多遺伝子疾患と結論づけられた。その中には,DRD2のように既に関連が知られていたものや,仮説として病態生理への関与が考えられていたものも含まれていた。さらに,注目すべきこととして,獲得免疫(CD19とCD20ライン)との関連も明らかにされた。

今後,病態生理の解明と新規標的に対する創薬が期待される。統合失調症には“at risk mental state”という発症前の概念があり,この段階で介入することにより統合失調症への移行率を減らせるという報告がある。同時に,本来は発症しなかったケースに不要な投薬が行われること,過剰診断の可能性,偏見を助長する,などの批判もある。今回の結果により,精度の高い発症リスクの評価と,より厳密な介入対象者の選定が期待される。

【文献】

1) Schizophrenia Working Group of the Psychiatric Genomics Consortium:Nature. 2014;511(7510): 421-7.

【解説】

足立 祥,島 正之 兵庫医科大学公衆衛生学 *教授

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