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鞆の浦小旅行[なかのとおるのええ加減でいきまっせ!(239)]

No.4947 (2019年02月16日発行) P.69

仲野 徹 (大阪大学病理学教授)

登録日: 2019-02-13

最終更新日: 2019-02-12

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福山へ講演にお呼びいただいた。いつものように楽しい宴会を過ごした翌朝は信じられないくらいの快晴。風邪気味だったが、さすがにもったいないので、バスで半時間ほどの鞆の浦まで足をのばすことに。

かつて瀬戸内の潮待ち港として栄えた鞆の浦、今は風光明媚な観光地になっている。古い町並みやお寺、神社などがコンパクトに揃っていて、散策するのが心地よい。

江戸時代の朝鮮通信使は、鞆の浦の福禅寺 対潮楼に滞在したという。その1人が、対馬から江戸を旅する間でいちばん美しい「日東第一形勝」として選んだのが対潮楼からの眺めである。確かに絶景だ。

こういった観光地では、つい財布の紐もゆるみがちになる。たくさんの生薬を漬け込んだ保命酒と、帆布でできた小物入れを買った。おもしろかったのは、干物屋の看板娘ならぬ、看板おかあさん。

いりこなど、いろんな干物が売ってある。いくつか味見して、うち2袋を買うことに。そしたら、ちょっと悲しそうに「エビも連れて帰ってくれんかのう」と。なんとも婉曲な表現にほだされて、「しゃぁないなぁ、買います」。商売上手にはかなわない。

ずいぶんと昔、研修医のころ医局旅行で鞆の浦に行ったことがある。ご当地で、その旅行での宴会のことを思い出していた。

すでに阪大総長だった故・山村雄一先生も参加しておられた。ビールの大瓶を一気にラッパ飲みにするという、唯一の芸を披露したら、見所があるとえらく褒められた。昔からめったに褒められることがなかったので、むちゃくちゃうれしかった。

もうひとつは、いやはや何とも、という話。宴会も終盤だったのだろう、同期の研修医が酔っ払ってお盆の上にゲロをした。で、そのゲロ入りお盆が、なぜか宴会場の畳の上に置きっ放しになっていた。

なにかの拍子に、間の悪いことに、山村先生がそのゲロの上に手をつかれたのである。うわっ、あかんやん。いくら酔っていても、それくらいのことはわかる。すわ、叱られるかと思ったら、鷹揚に笑い飛ばされた。いやぁ、エライ人は違う、と心から感心した。

以来、自分も、もし同じようなことがあれば、がははっと笑う心づもりをしている。けど、幸か不幸か、いまだにそのような状況に陥ったことはありません。

なかののつぶやき

「対潮楼からの写真。ホントに絵と額みたい」

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