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私の人生を変えた、一人の子との出会い[プラタナス]

No.4945 (2019年02月02日発行) P.3

成田光生 (札幌徳洲会病院小児科小児感染症部長)

登録日: 2019-02-02

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  • 2000年12月12日、当時私が勤務していた総合病院に近医から9歳の子が発熱および咳嗽を主訴に紹介されてきた。入院時の胸部X線写真では両側の肺に浸潤影が認められ、年齢および流行状況からマイコプラズマ肺炎を疑い、クラリスロマイシン投与にて治療を開始したところ、2日間で解熱し肺炎像も速やかに改善した。

    その頃、私は研究の一環として日常的にマイコプラズマの分離培養を行っており、その子からも首尾よく菌の分離に成功した。そこでその菌を神奈川県衛生研究所に送付して薬剤感受性試験を施行したところ、それが臨床的には著効を奏したクラリスロマイシンに対して耐性の菌であったのは、まったく予期せぬ結果であった。「マイコプラズマには野生の耐性菌は存在しない」という当時の定説を覆す世界でも最初の発見であった。また、マクロライド耐性菌感染であっても臨床的にはマクロライドが奏効したように感じる場合もあるという、耐性菌感染として最初にして象徴的な例でもあった。

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