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古民家でシェアライフ(SL)を─伊豆新しき医療村(続編)[炉辺閑話]

No.4941 (2019年01月05日発行) P.103

三谷玄悟 (伊豆新しき医療村理事長)

登録日: 2019-01-07

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正月気分でふと思い馳せるのは、あのSL。あのたくましい蒸気の噴出、力強い大きな動輪のゆっくりの回転。すばらしいエネルギー。その後出てきた時速200kmの高速の列車。とにかく速いが何かむなしいものがある。車窓に映る庶民の営みがふっとんでしまって、ゆったりとした姿を味わうゆとりがなくなってしまった。

「新しき医療村」が動きはじめて早4年。相変わらずヨチヨチだが、考える「もの」はキラキラと輝いている。小さくて地味な存在だが、皆「何か」をひたむきに求めているのだ。

縁あって古民家を使うようになった。昔風の八畳は吹き抜けの部屋。往年の牛小屋付き。そこで皆それぞれショートステイ風に使ってゆこうと。そこでは安心の生活がある。しみじみと味わう倹約(SL)の生活。

やがて夕焼けが来る。ちりばまれた光り輝く星々。巣に戻った小鳥たち。やがて夜の帳が……。小川のせせらぎは夜の静寂にこだましている。精気に満ちた森のフィトンチットを思いきり吸い込めば、体のすみずみまで「元気」がみなぎってゆく。

大地を耕し生まれてきたニワトリのヒヨコに慈しみの餌を。

一日の労働に誘われるのは、小川の冷たい清水、喉ごしさわやかな一口は全身に精気をもたらしてゆく。露天の温泉は笑顔溢れる村の住民のいこいの場。湯船の蒸気を思い切り吸い込めば大地の「恵み」をしみじみと味わう。やがて夕餉に集う村人たち。乾杯に満面の喜び。そこに取り立てのみずみずしい野菜、庭先から拾ってきたニワトリの卵、不慣れな腕前。たどたどしくつくり上げるのは健康の源、スクランブルエッグ。にぎやかな宴。そこでは自分たちの来し方をしみじみと話し合っている。

過去の出来事は大半は間違いだったか、失敗だったか。人生はかくも起伏ざんまい。いつの間にかこの齢になってしまった自分を想う。

千有余年前に言われたあの哲人の指摘、生は短く(ウィータブレウィス)創りあげた汗の結晶は永い(アルスロンガ)。

今の元気なうちに皆で「何か」を創りあげ後生に遺してゆきたいものだ。今ここにいる大地の加護のもとで……。それらは学問、哲学、宗教などとはほど遠いものかもしれないが、今からの人生を歩むのに何か役立ちうる「もの」を創ることになるに違いない。

ささやかな歩みを続ける伊豆新しき医療村の姿を顧みた。

伊豆新しき医療村(飯塚、小川、稲葉、渡辺、岩瀬、紙屋、三谷)

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