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■NEWS 米学会誌がNagoya Heart Study論文を撤回

No.4923 (2018年09月01日発行) P.20

登録日: 2018-08-24

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米国心臓協会の学会誌「Hypertension」は23日、名大が行った降圧剤ディオバン(一般名:バルサルタン)の臨床試験の論文「Nagoya Heart Study」(NHS)を撤回した。これで、ディオバンに関する5つの臨床試験のすべての主論文が撤回されたことになる(表)。

NHSは、心不全による入院がディオバン群で有意に少ないという内容で、2012年にHypertension誌で発表された。名大は2014年に発表した調査報告で、心不全の定義が臨床研究計画書では「心不全の発症/悪化による入院、悪化による追加治療」とあるのに、論文では「心不全による入院」とされていたため、論文の定義を計画書通りに訂正するよう勧告。その後、学外からの疑義を受けて追加調査を実施し、昨年11月に5つの不適切事項を指摘した上で、Hypertension誌に掲載された主論文と、他誌に掲載されたデザイン論文、サブ解析論文の計3論文について「論文撤回が適当」と判断した。これに対し、著者は再調査を依頼。名大は再調査の結果を今年3月に公表し、5つの不適切事項のうち、4つの不適切事項を再認定。その上で、改めて「論文撤回が適当」と結論づけていた。

4つの不適切事項は①心不全の定義が二重のまま研究を遂行し、勧告後も定義の訂正が行われていない、②エンドポイント委員会(EPC)が審議を行う前にイベントの予備的な弁別が行われたことが疑われる、③入院していないにもかかわらず「心不全による入院」と判断された症例が5症例あり、このうち診療録で入院拒否を確認できたのは3症例のみ、④ディオバンを販売するノバルティスファーマ社社員などEPCに所属しない関係者がEPCの運営に関わっていた―というもの。Hypertension誌はこれらの不適切事項を紹介した上で「名大の調査結果に基づき、論文を撤回する」と説明した。

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