写真中央は、81歳、女性、大腸癌末期、認知症、人工肛門、独居の方である。写真右は研修の学生、写真左が筆者である。この写真のように、お誕生日にはお花を送り、記念写真を撮っているが、この写真がそのまま遺影になることがめずらしくないのが在宅医療の現場である。
認知症の診断で、当クリニックにて、在宅医療でフォローしていた。便潜血陽性で、腫瘍マーカー(CEA)も高かったので、精査も勧めていたが、癌があっても治療はしないということで、そのまま検査なしで経過をみていた。
在宅6年目に腹部膨満にてA病院に緊急入院。大腸癌が見つかり、緊急避難的に、大腸癌は残したまま人工肛門を造設。2カ月後、A病院で退院前カンファレンスを開催した時には、主治医(筆者)がわからないくらい、認知症症状が強かった。在宅での復帰は無理で、グループホームで在宅フォローし、そのまま看取りまで対応しようと考えていた。
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