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自らの頻拍体験[プラタナス]

No.4911 (2018年06月09日発行) P.3

栗田康生 (国際医療福祉大学医学部医学教育統括センター/同大学大学院特定行為看護師養成分野/同大学三田病院心臓血管センター准教授)

登録日: 2018-06-08

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  • 上室性の頻拍は通常、心電図でQRS幅が正常のnarrow QRS tachycardiaとなり、狭義の発作性上室頻拍であるPSVT(paroxysmal supraventricular tachycardia)には副伝導路を介する房室回帰性頻拍AVRT(atrioventricular reciprocating tachycardia)と、房室結節の二重伝導路を介する房室結節リエントリー性頻拍AVNRT(AV nodal reentrant tachycardia)がある。いずれも突然頻拍となり、迷走神経刺激などにより頻拍が突然停止するのも特徴であり、モニター心電図波形のみでの鑑別は困難で、胸部誘導のV1のQRS波形がrSr’となることがAVNRTの逆行性P波を表すとされる。

    私は医学部学生時代に硬式野球部に所属していたが、スタートダッシュや、走塁(盗塁)の練習中などに、眼前暗黒感(前失神)を伴う規則的で速い動悸を自覚することがあった。まだ循環器で不整脈の授業を受ける前の出来事であり、どのような頻拍であるかなど知る由もなかったが、教科書で習うよりも前に自ら息をこらえて停止を試みていた。不整脈の授業でPSVTを習い、まさにこれだと確信した。比較的容易に頻拍が停止したため、周囲からは動悸も気のせいと思われていたが、ようやくカルジオフォンという伝送心電図システムで捕まえ、皆に頻拍の存在を証明することができた。

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