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在宅中心静脈栄養法(HPN)

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-06-13
岡田孝弘 (オカダ外科医院院長)
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  • ■導入の考え方

    経口摂取が困難となり栄養が摂れなくなった患者の生命維持に必要なエネルギーを,心臓近くの太い血管(中心静脈)内にカテーテルを留置し点滴することを,中心静脈栄養法(total parenteral nutrition:TPN)と言う。

    TPNを在宅で行うことを在宅中心静脈栄養法(home parenteral nutrition:HPN)と言う。

    高カロリー輸液(intravenous hyperalimentation)を用いた栄養管理目的のほかに,抗癌剤や麻薬などを確実に投与する方法としても用いられ,利用患者も最近増えている。

    在宅の現場では家族が管理し医療者が時々チェックする体制で行うが,安全に確実な取り扱いが求められ,合併症やトラブルはあってはならず,病院以上に慎重を要する。

    ■状態の把握・アセスメント

    適応:まず,この患者にとってTPNが本当に必要なのかどうかを検討する。

    原因の把握:摂食困難の原因が,進行性のものか,一時的なものなのかを把握する。

    目的の明確化:TPNの目的が,高カロリー輸液なのか,薬剤投与が目的なのかを明確にする。

    主な管理者の決定:TPNの管理については,①家族は輸液バッグの交換のみを行い,その他の作業はすべて医療者が行う場合,②ルート交換もCVポートへの針刺も含め,全面的に家族が管理する場合,がある。①の場合,介護は家族にとってかなりのストレスとなるため,負担をかけないようにすることが重要である。②の場合は,家族と本人がいつでも入浴でき,家族で温泉旅行へ出かけることも可能である。自由な時間を過ごすためには,必要な手技と言える。また,介護を負担する家族が高齢でなければ,手技の理解・実施も容易である。

    【カテーテルの選択】

    在宅で生活できる時間が極端に短い場合には,病院で使用したTPNカテーテルを利用する。

    1カ月以上の療養生活が望める場合には,完全皮下埋め込み式ポート付きカテーテル(totally implantable central venous access port:CVポート)の手術を勧めている。CVポートを留置するためには手術が必要であるが,安全な在宅生活を考えると有用である。

    留置術:長期にわたって利用するためには,透視下でカテーテル先端を確認しつつ行うとよい。

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