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在宅における輸液(皮下輸液を含む)

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-07-10
鈴木 央 (鈴木内科医院院長)
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  • ■導入の考え方

    在宅医療においても輸液が必要な場面がある。たとえば脱水や食欲不振時に行うことがありうる。しかし在宅という医療現場における特徴から,病院では簡単にできる持続末梢静脈輸液が困難であることが少なくない。

    在宅では200~500mLの単回の輸液で終了することが多く,連日輸液を行うときには皮下輸液という選択肢もありうる。

    ■在宅での輸液の特徴

    【大量および持続的な末梢静脈を利用した輸液の問題点】

    〈血管穿刺,血管外への漏出〉

    多くの療養者は,既に末梢静脈穿刺を病院で繰り返している。末梢静脈穿刺の難易度が高く,その上血管が虚弱であることが多く,開始された輸液が終了前に漏れることも少なくない。

    〈輸液交換等の負担〉

    輸液交換等の処置は,家族に依存することが少なくないため家族負担が増える。

    1000mL以上の輸液を在宅で行うときには,輸液バッグの交換は家族が担うことが多い。医療処置に慣れていないため,介護する家族にとっては大きな緊張を強いることになる。滴下量の調整,交換近くになった場合に患者の側から離れられないこと,点滴終了後のへパリンフラッシュなどが,より在宅介護負担を大きくすることがある。

    もちろん必要があれば医師や看護師が対応するが,点滴が終わるまでの数時間ずっと患家に滞在することは在宅医・訪問看護師ともに困難であるため,複数回の訪問で対応するしかない。すると在宅医療者の負担もより大きなものになる。

    【輸液行為による苦痛を最小限に】

    多くの在宅療養者は,人生の最終段階を意識せざるをえない状態で在宅療養を行っている。このため症状緩和は重要な意味を持ち,医原的な苦痛はできるだけ少なくする必要がある。複数回の血管穿刺,輸液中の同一の姿勢保持などが苦痛となる可能性が高い。常に評価を行い,苦痛への対策を考える必要がある。

    【終末期における輸液は苦痛を増やす可能性がある】

    日本緩和医療学会の終末期がん患者の輸液療法に関するガイドライン1)によると,腹水,胸水,浮腫,気道分泌物が多い生命予後が1カ月程度の患者に対しては,輸液を行わないことや,輸液量を500~1000mL以下に減量することが推奨されている。

    以上より,在宅における輸液(点滴)とは,500mL程度の輸液(輸液バッグ1つ分)を1日の最大量として行うことが多い。

    ■状態の把握・アセスメント

    【脱水時の診断におけるチェックポイント】

    食欲がなく傾眠がち,いつもに比べて何となく元気がない。

    高温,クーラーがないなどの環境的要因がある。

    口腔内乾燥の有無,ツルゴールの低下,毛細血管再充満時間が3秒以上,頻脈,低血圧,乏尿などが認められる。

    【食欲低下時のアセスメント】

    食欲低下は一次的なものか。

    食欲低下は脱水によって生じているのか。

    病状は十分にコントロールされているか。

    今後の予後にとって輸液の恩恵はあるのか。

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