株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

Q38 在宅医に求められる資質・スキルとは

登録日:
2018-04-10
最終更新日:
2018-06-29

在宅医療にはちょっと特殊なイメージがあります。どのような医師に向いているのでしょうか?

point

▶自分なりの療養をしようとする患者,家族の支援は決して無為なものではなく,医師にとってやりがいのある仕事である。
▶在宅医療を通じて,医師として心技体の向上が図れる。
▶在宅医療はinterestingであり,かつexcitingなものである。

1 在宅医に求められる資質

虚弱な人や様々な疾病や障害が合併している人を支えるには,並々ならぬ体力と努力と能力が必要となる。単なる疾病管理にとどまらず,社会的側面や経済的側面などにも配慮した包括的対応が不可欠になる。つまり広い配慮とバランス感覚を持った医師が在宅医療に適性を持っている者であると言うことができる。
しかし,在宅医に求められる資質はそれだけではない。ここでは在宅医に求められる適正・スキルを在宅医に必要な心技体として論じてみたい。もちろんこれらすべての条件を満たさなければ,在宅医療ができないわけではない。むしろ在宅医療に従事する中で,心技体のバランス()を向上させていく過程を楽しんでほしい。

2 在宅医の心

在宅医は専門医と異なり疾病対応よりも虚弱者対応が中心となる。介護の問題や生活の問題にまで関与しなければならない。虚弱性に対する対応を行うとき,それらすべてを無視することができないからである。虚弱者が社会生活性を高め,様々な病状とうまくつき合いながら,周囲に負担をかけずにバランスよく生活するために,医療が適切なサポートをし続ける必要がある。

3 在宅医の技

昨今の在宅医療現場では,様々な在宅療法が施行されていることが少なくない。様々な在宅療法を習熟し,求められる医療を適切に行っていくためには,在宅医療技術の向上が不可欠である。これらの多くは,基礎的臨床能力を持っている者であれば,在宅診療の現場で真摯に現場修練を重ねていくうちに習得できるものが大半であるが,時には訪問看護に同席したり,様々な勉強会や研修会などにも参加するなど,様々な機会を利用して技術の向上を図っていく必要がある。

4 在宅医の体

在宅医療を行う上で,24時間365日対応することが大変だという声が大きい。もちろんまったく仕事から離れることがないという意味では,非常に負担感が大きいかもしれないが,もし往診代行などを他の医師にゆだねる場合,その間の緊急事項に自分がまったく関与できないことに対する不安感を考えると,むしろ自分で対応したほうが楽だという意見もよく聞かれる。24時間対応することこそが在宅医療の負担感でもあり,責任感でもある。
在宅医療では,病院の中では経験したこともない世界が広がっているだろう。苦労もあるだろうし,道に迷うこともあるかもしれない。地域社会の歪みという医療だけでは解決しえない事象の大きさに打ちのめされることも少なくない。しかし一方で,在宅医療は医療者に大きな喜びと充実感を与えてくれる,とてつもなく魅力的なフィールドでもある。

5 在宅医へ伝えたい言葉

在宅医療の先駆者の1人でもあり,日本在宅医学会の創立者でもある佐藤 智先生が常々「病気は家で治すもの」「在宅医療はinterestingであり,かつexcitingなものである」と話していたことを少しでも多くの在宅医に知ってもらいたい。

英 裕雄

このコンテンツは書籍購入者限定コンテンツです。

Webコンテンツサービスについて

ログインした状態でないとご利用いただけません ログイン画面へ
新規会員登録・シリアル登録の手順を知りたい 登録説明画面へ
本コンテンツ以外のWebコンテンツや電子書籍を知りたい コンテンツ一覧へ

関連記事・論文

もっと見る

page top