株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

脂質低下療法とPCSK9阻害薬【2016年に保険適用となった強力な選択肢で,簡便さと副作用の軽さを兼備】

No.4884 (2017年12月02日発行) P.54

南 尚賢 (北里大学循環器内科診療講師)

登録日: 2017-12-05

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

わが国では2017年に5年ぶりとなる「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」(日本動脈硬化学会編)の改訂が行われた。今回の改訂では,冠動脈疾患発症をアウトカムとした絶対リスクの層別化とその脂質管理目標値が設定され,厳格な脂質低下療法の重要性が強調されている。特に,急性冠症候群や家族性高コレステロール血症患者における二次予防のLDL-C目標値として,これまでの100mg/dL未満に加え,70mg/dL未満を考慮すべきとの記載が追加された。16年からPCSK9阻害薬(レパーサ®,プラルエント®)がわが国において保険適用となり,薬物療法に強力な選択肢が加わった。

PCSK9阻害薬は,LDL-C受容体の代謝に関わるPCSK9(proprotein convertase subtilisin/kexin type 9)を選択的に阻害するヒト型モノクローナル抗体であり,その著明なLDL-Cの低下作用に加え,心血管イベント抑制効果が大規模臨床試験により証明された1)。適応は現在のところ,心血管イベント発症リスクが高く,スタチン最大耐用量を用いてもLDL-Cが管理目標値に達しない脂質異常症,もしくは家族性高コレステロール血症患者に限られている。

17年から長期処方が可能な在宅自己注射用のペン型製剤が発売となり,2週ないしは4週に1度の皮下注射という簡便さと,その少ない副作用から良好なコンプライアンスが期待される。比較的高い薬価と,長期投与における有効性の検証が今後の課題である。

【文献】

1) Sabatine MS, et al:N Engl J Med. 2017;376(18): 1713-22.

【解説】

南 尚賢 北里大学循環器内科診療講師

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

公立小浜温泉病院

勤務形態: 常勤
募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・消化器外科 各1名
勤務地: 長崎県雲仙市

公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

当病院は島原半島の二次救急医療中核病院として地域医療を支える充実した病院を目指し、BCR等手術室の整備を行いました。医療から介護までの医療設備等環境は整いました。
2022年4月1日より脳神経外科及び一般外科医の先生に常勤医師として勤務していただくことになりました。消化器内科医、呼吸器内科医、循環器内科医及び外科部門で消化器外科医、整形外科医の先生に常勤医師として勤務していただき地域に信頼される病院を目指し歩んでいただける先生をお待ちしております。
又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。透析数25床の能力を有しています。15床から開始いたしましたが、近隣から増床の要望がありお応えしたいと考えますが、そのためには腎臓内科(泌尿器科)医の先生の勤務が必要不可欠です。お待ちいたしております。

●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問看護、訪問介護、訪問診療体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top