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『診療所経営の教科書』小松大介氏インタビュー 「診療報酬に一喜一憂せず『大きな流れ』をつかんでほしい」

登録日: 2017-11-09

最終更新日: 2017-11-10

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  • 独自のデータ分析で安定経営の指標を明快に示し、大きな話題を呼んだ『診療所経営の教科書』(日本医事新報社)の第2版がこの秋、満を持して刊行された。経営環境が厳しさを増す中、これからの時代にクリニックが戦略上意識すべきポイントは何なのか。著者の小松大介氏(株式会社メディヴァ コンサルティング事業部長)に話を聞いた。

    小松大介 著『診療所経営の教科書<第2版>』。初版は1万部を大きく超える発行部数を記録した

    診療所の経営環境は厳しく、競争の激しさも増している

    ――『診療所経営の教科書』初版が発行された2013年以降、診療所経営を取り巻く環境はさらに厳しくなっていますか?

    小松 コンサルティングに関わっている者の実感として、間違いなく苦しくなっていますね。

    高齢化が進む中、人口が徐々に減少し、地方によってはあらゆる患者さんが減り始めています。その一方で、医師数は増え続けていますので、クリニック(診療所)の開業は増加傾向にあり、2014年、2015年は開設・再開合わせて7600件のクリニックが開業しています。

    市場が縮み、病院が減り続ける中、医師の勤務先は減る一方ですので、開業の増加傾向は今後も続き、診療所の経営環境はますます厳しくなっていくと見ています。

    ――競争がますます激化している。

    小松 少しでも人口が増えるところに新規開業が集中する傾向がありますので、競争はますます厳しくなっています。戦略的に考えていかないと苦しいという印象は強いですね。例えば、「逆張り」じゃないですけど、ちょっと考えて、患者が減っている地域でも地域の開業医が高齢化しているのであれば、高齢の先生がやりきれない部分をやるということで、あえてそこに開業するという戦略もあります。

    ――2013年以降、2014年、2016年と2回の診療報酬改定がありましたが、その影響は出ていますか。

    小松 外来と在宅で違うんですけど、外来は診療報酬改定が直接クリニックに影響を与えることはあまりなくなっています。ただ、改定ごとに病院の平均在院日数が短縮しており、「地域包括ケア」の名の下に患者さんはどんどん地域に帰ってきていますので、重篤な患者が診られるクリニックは、実は患者さんが増えています。

    一方、在宅は、延べ患者数は明らかに増えていますが、2回の診療報酬改定で施設関係の在宅が大きく減収になってしまったので、それを機に、在宅をやめてしまった診療所も増えています。それでも生き残り方を見つけた一部の在宅診療所だけが勤務医を増やして、地域包括ケアの中で好調な経営を続けている形になってきましたね。

     

    こまつ だいすけメディヴァ取締役・コンサルティング事業部長。東大教養学部基礎科学科卒。同大学院総合文化研究科修士課程修了。マッキンゼー・アンド・カンパニーのコンサルタントとしてデータベース・マーケティングとビジネス・プロセス・リデザインを専門とした後、メディヴァを創業。100件以上のクリニック新規開業・経営支援、100件以上の病院・介護施設コンサルティング経験を活かし、医療機関向けコンサルティング部門のリーダーを務める。著書に『診療所経営の教科書』『病院経営の教科書』(いずれも日本医事新報社)など

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