株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

Baby butt[プラタナス]

No.4873 (2017年09月16日発行) P.3

笠井正志 (兵庫県立こども病院感染症科科長)

登録日: 2017-09-18

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 呼吸不全、白血球数70000/mm3、肺高血圧をきたした百日咳症例(生後14日)を前任地PICU勤務時代に経験した。

    当時は、院内で百日咳遺伝子検査はできず、他の専門機関に依頼したが、結果は早くても翌日。呼吸不全の進行が早く、このままでは数時間後には体外循環(ECMO)に至る可能性のある呼吸状態だった。

    百日咳の呼吸不全に対して、白血球除去は有効かもしれないという観察研究がある。早期に白血球数を減らし、肺高血圧を改善し、呼吸状態悪化を避けたいが、百日咳の確定診断がついていない。母親も出産前より咳をしており(未診断)、リンパ球増多がみられ、細菌性肺炎は気管吸引痰のグラム染色より否定的であり、臨床的には百日咳の可能性が高い。

    そこで、血液塗抹検査を夜間緊急で依頼し、核の切れ込みを伴う幼若なリンパ球、いわゆる“baby butt”を確認できたため、百日咳の蓋然性が高いと判断し、緊急で交換輸血することを決断できた。その後、白血球数も減少し、呼吸状態も改善した。後日、百日咳菌遺伝子が検出(培養も陽性)された。

    残り561文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    関連求人情報

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top