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(7)病院広報から病院ブランディングへの途【1章 広報の本質を見きわめる】[特集:患者満足度を上げる院内・院外広報]

No.4727 (2014年11月29日発行) P.32

石田章一 (NPO法人日本HIS研究センター)

登録日: 2016-09-01

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  • 医療の広告規制を軽くクリアして,その明確な施設機能により,医療の質や利用者の満足度を上げることで,経営的に生産性を,地域では評判(レビュテーション)の段位を上げる道は「広報」しかありません。
    まず初心者は,広報の受け身をみっちり練習することです。広報誌のような小技の攻撃だけでは,体力勝負の競争に勝てませんが,たとえ投げられたとしてもダメージを細小にするレジリエンスや,受け身回転により効率よく立ち上がることができれば次なる勝負に挑むことができます。健全な筋肉と運動神経,何と言っても前向きな精神力,そして柔軟で敏捷で強健な身体づくりにあたっては,すべて「広報」の口と耳と足を使いながらも立ち位置・均整・構えを正しくするよう習慣づけていきます。あくまでも見た目にも美しくスマートで頼りがいのある闘いぶりを社会に見て頂くのです。

    ☞ 説明がいらないブランドの輝き

    医療の世界では,「説明と同意」の重要性がしばしば投稿されますが,医療ブランディングによりこれらを最小にできることをご理解頂けるでしょうか。法律上の手続きとして手を抜くことはいけないと思いますが,ビジネスではこんなことをやっていません。「そんな無謀なことを!」とお叱りがあると思いますが,これは,本当の話です。
    ここで言わんとするブランディングとは,あくまで説明や同意(手続き)を最小にする方法です。例えば,先生方が所有される車のメーカーは何ですか?ホテルはどこに決めていますか?すべてブランドロゴが輝いていますね。そこに細かな説明がいりますか?同意がなければ売りませんか,買いませんか?もちろん契約など手続きには同意の欄があり,説明書もついていますが,それらに記載がなくても「ベンツはベンツ」であり,さすがブランドと言える,限りなく安心で輝かしい「存在(アイデンティティ)」があるのです。
    医療施設のすべては,まず,そのような「ブランド」を持つべきです。そしてそれは「信頼の形」をしていることが大切です。利用者の皆さんがそう認識する医療サービスであり,存在になることです。私は,そのことで海外を含む150の企業や施設プロジェクトをディレクトしてきました。アプローチもプロセスもアウトカムもすべてが,その独自の条件により違いますが,最後は,まどろっこしい説明や同意に神経や言葉を使わない(お願いをしないですむ)施設づくりを提案してきました。そこに身を置くだけで実感できる施設を考え続けています。

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