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抗凝固療法施行中の大出血の原因をいかに考えるべきか? 【出血による凝固障害は関係しているか】

No.4842 (2017年02月11日発行) P.60

西川政勝 (三重大学医学部附属病院臨床研究開発センター長/教授)

登録日: 2017-02-07

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  • ワルファリンで抗凝固療法施行中の患者が大出血を起こしショックに陥った際に,プロトロンビン時間国際標準比(prothrombin time-international normalized ratio:PT-INR)を測定し,その値が延長していた場合,「出血により凝固系が活性亢進された結果,凝固因子が減少したから」と考えることは可能でしょうか。

    (質問者:千葉県 K)


    【回答】

    ワルファリンは,活性型ビタミンK(還元型)と構造がよく似ており,肝臓でのビタミンKの作用を拮抗的に阻害する薬剤です。ビタミンK依存性に肝臓で産生される正常な凝固因子(プロトロンビンⅡ,Ⅶ,Ⅸ,Ⅹ),プロテインC,プロテインSの量を低下させ,抗凝固作用,抗血栓作用を発揮します。

    ビタミンK依存性凝固因子は,合成の最終段階で,還元型ビタミンKとビタミンK依存性カルボキシラーゼの存在下で,その前駆体分子のアミノ酸残基側にあるグルタミン酸(Glu)残基がγ-カルボキシグルタミン酸(Gla)残基に変換されることにより,凝固活性を有する糖蛋白となります。

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