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自家感染実験(experimental self-infection)─④[完]昆虫・ダニ、番外編[エッセイ]

No.4841 (2017年02月04日発行) P.70

滝上 正 (日本感染症学会功労会員日本医史学会神奈川地方会顧問)

登録日: 2017-02-05

最終更新日: 2017-01-31

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  • 昆虫やダニが単独でヒトへの直接の有害作用を示したという自験例をまとめた医学畑からの報告はきわめて乏しい。ここでその一端を紹介しておきたい。

    シラミほか

    1)シラミ
    シラミは自然界では世界中に分布しているが、今日、ヒトや動物にたかってから吸血する害虫としてのシラミを見た日本人は少ないのではなかろうか。今や日本は清潔な国なのである。シラミはイエダニとともに幼虫から成虫まで一生を吸血で生活し増殖している1)2)

    国立感染症研究所で40年にわたり飼育されてきたコロモジラミの系統は、30℃の恒温器の中で飼育され、しかも連日1日1回、ヒトから吸血をさせて維持されてきた。これしか、シラミを生かし続ける途はない。今日ではこれが業務として川崎市にある日本環境衛生センターの職員の献身的協力によって継続されていることは銘記しておかねばならない。

    2)ガ(蛾)
    ガの中には毒毛を持つものがあり、それに触れると皮膚炎を起こす。種ごとにガをヒトにたからせ皮膚への有害性を判定したところ、43種のガのうち、33種がヒト・ボランティアに皮膚炎を発症させることが判明した3)

    3)ブユ
    自動車の排気ガスに集まったブユを捕獲し、その中の1匹の雌に研究者の左腕皮膚から約20分吸血させた。翌日に皮膚局所に出血斑、2日後に局所のかゆみ、発赤、硬結が出現し、3日後にはそれらは極点に達したが、1カ月後には色素沈着のみを残して自然治癒した。

    それまでもブユに刺されたことがある当研究者は、この皮膚病変はブユの唾液腺物質によるⅣ型アレルギー反応によるものと判断している4)

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