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(2)血管保護からみた改訂ポイントとその妥当性 [特集:考察 高血圧治療ガイドライン2014]

No.4712 (2014年08月16日発行) P.27

冨山博史 (東京医科大学循環器内科教授)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-03-27

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  • JSH2014では“リスク評価に付加価値のある血管障害評価指標”“副次的な血管障害評価指標”が記載されている

    リスク評価に付加価値のある血管障害評価指標”として頸動脈超音波検査や足関節上腕血圧比測定が実施される

    頸動脈超音波検査などで異常を示す症例は高リスク例である

    1. 血管障害評価検査の概要─JSH2009から2014での変更点を含めて

    日本人死亡の主因の1つである動脈硬化性心血管疾患は,高血圧を含め,糖尿病,脂質異常症など生活習慣病が発症に大きく関与する。動脈硬化性心血管疾患の診療においては早期発見が重要であり,潜在する心血管系臓器障害を評価する指標の確立が望まれている。生活習慣病は症例数の多いcommon diseaseの範疇に入るため,簡便な指標が必要である。上記条件を満たすために必要な診療指標を表1に示した。
    血管障害評価指標として様々な検査が実施可能であるが,日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン2009」(JSH2009)およびJSH2014では,血管障害評価指標を2つにわけている。“従来の危険因子に対して付加価値のある”血管障害評価指標(高血圧管理計画のためのリスク層別化に用いる予後影響因子)として頸動脈超音波検査,足関節上腕血圧比(ankle brachial pressure index:ABI)を挙げ,その価値が十分確立されていないと考えられる副次的血管障害評価指標(臓器障害指標)として脈波伝播速度(pulse wave velocity:PWV),増大係数(augmentation index:AI),内皮機能検査,造影CTを挙げている。
    JSH2009,2014とも,動脈硬化性プラークおよび大血管疾患合併に加え,頸動脈超音波検査より得られる頸動脈内膜中膜複合体厚(intima-media thickness:IMT)とABIを高血圧管理計画のためのリスク層別化に用いる予後影響因子としている。異常を認めた場合,高リスク症例として生活習慣改善指導に加え,降圧薬開始を検討するように推奨している。

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