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存在感を増す経済財政諮問会議 [お茶の水だより]

No.4837 (2017年01月07日発行) P.10

登録日: 2016-12-28

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▶年明けから2018年度診療報酬改定に向けた議論が、例年より前倒しのスケジュールで進む。かかりつけ医機能のあり方や7対1病床の適正化、在宅医療のさらなる推進など課題が山積する中、政府の経済財政諮問会議の民間議員が、技術料のあり方を含め「診療報酬の改定についても議論すべき」と提案したことが波紋を呼んでいる。
▶2016年の医療界は「オプジーボ」に代表される高額薬剤問題への対応に明け暮れた1年だったが、その集大成ともいえる『薬価制度の抜本改革に向けた基本方針』は諮問会議が主導する形で策定された。基本方針の柱は薬価の毎年改定の導入。これまで繰り返し主張してきた民間議員の提言が今回実現したことで、潮目が変わった印象を受ける。
▶諮問会議での民間議員の発言を受け、日本医師会は翌22日に「大それた発言」「まさに青天の霹靂であり、きわめて遺憾」とする見解を発表した。その中で、諮問会議が内閣府設置法で「首相の諮問に対して調査審議し、意見を述べる場」と定められているとし、診療報酬体系への踏み込んだ議論を行うことを法的に問題視。診療報酬こそ中央社会保険医療協議会で議論すべきと強調した。
▶次期改定は地域包括ケアシステム構築の仕上げに位置づけられる。シームレスな医療・介護連携を進めるには、医療資源や科学的知見に加え、現場の声を具体的サービスとして制度にどう落とし込むかといった地道な議論が重要だ。諮問会議には、医療や介護現場を知る議員は一人もいない。経済性を重視した諮問会議の介入は、かえって地域包括ケア構築の足枷になる恐れがある。存在感を増す諮問会議との対峙が、厚生労働省を含めた医療界の重要な課題となるだろう。

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