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■NEWS 標準的出産費用の自己負担無償化などを提言―厚労省検討会が論点整理

登録日: 2025-05-18

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厚生労働省の「妊娠・出産・産後における妊産婦等の支援策等に関する検討会」は5月14日、標準的な出産費用の自己負担無償化などを盛り込んだ議論について論点を整理した。2026年度からの実施を目標に検討を進める。

正常分娩の全国平均出産費用は増加傾向にあり、23年度には50万円を突破。地域間・施設間隔差も大きく、最も低い熊本県の38.9万円に対して最も高い東京都は62.5万円に達する。一方で分娩を扱う産科医療機関等の経営は年々悪化しており、日本産婦人科医会によると22年度は41.9%だった赤字産科診療所の割合が23年度には42.4%に上昇した。

このため論点の整理では、費用の見える化を前提とした標準的な出産費用の自己負担無償化と安全で質の高い周産期医療提供体制の確保を両立する必要性を指摘。26年度をメドに産科医療機関等の経営実態等にも十分配慮しながら、標準的な出産費用の自己負担無償化に向けた具体的な制度設計を進めるべきだと提言した。

■正常分娩の保険適用には産科医療機関等の収入減を心配する声も

出産育児一時金の増額や正常分娩を保険給付対象として患者自己負担分を公費で賄う方法などが考えられ、今後、社会保障審議会医療保険部会などで詳細を検討する。ただ、保険適用を巡っては、産科医療関係者から収益の悪化を懸念する声も出ている。

論点の整理はこのほか、(1)妊産婦が十分な情報に基づいて出産に関する自己決定・取捨選択できる環境の整備、(2)希望する妊婦が安全な無痛分娩を選択できる環境の整備、(3)妊産婦本位の切れ目のない支援体制の構築、(4)国が示す妊婦健診項目で自己負担が生じることのないよう、公費負担をさらに推進、(5)産後ケアの受け皿拡大、認知度向上、利用手続きの簡略化を推進―なども提言した。

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