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高齢者緩和医療 [炉辺閑話]

No.4837 (2017年01月07日発行) P.78

福間誠之 (洛和ヴィラ桃山医務室)

登録日: 2017-01-03

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日本では終末期患者の苦痛を緩和する緩和医療はがん患者を対象に進められてきたが、これからの超高齢社会では高齢者に対する緩和医療が必要となる。高齢者は老化の進行とともに、病気にかかったときの回復力も衰え、積極的な治療の効果が期待できないようになる。慢性疾患を多数抱え、病状も進行して末期となり、老化が加わると病気の回復可能性は少なく、症状緩和を目的とする緩和医療が必要である。

高齢者は抱えている疾患、個人の状態などが個々に異なり、終末期の判断は年齢だけではできない。認知症に関してもアルツハイマー病は慢性の進行性疾患で、死に至る病であることがあまり認識されておらず、病状の進行とともに自分で食べることができなくなり、嚥下も困難になると全介助が必要となり、胃瘻造設に関して議論のあるところである。老人施設の入所者が肺炎などで入院した急性期病院では、経管栄養から胃瘻造設になることが多かった。

介助をする側からみれば、注入食のほうが時間をかけずに食事を入れることができ、効率的で積極的に行われたようであるが、認知症の末期の患者は回復の可能性がなく、延命するだけとなる。最近はインターネット上に胃瘻に関しての批判的意見が多くなっているのか、家族も造設を希望しなくなっているようである。
虚弱高齢者の終末期の判断は難しく、併発症が生じたときにどこまで治療をすべきか迷う。その患者の置かれている状況と抱えている慢性疾患の状態など、多くのものを総合的に判断しなければならない。

これまでの医学教育では緩和医療に関しては、特に高齢者の緩和医療は扱われていなかったのではないかと思うが、これからの日本では超高齢社会となり、医療費の問題も含めて重要な課題であるので、高齢者緩和医療を取り上げて頂きたい。

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