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化粧品と食物アレルギー [炉辺閑話]

No.4837 (2017年01月07日発行) P.63

相原道子 (横浜市立大学附属病院院長、横浜市立大学大学院環境免疫病態皮膚科学教授)

登録日: 2017-01-02

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患者さんとお話していると、「皮膚が弱いので、化粧品や保湿剤は合成品の入っていない自然のものを使っています」としばしば言われます。よく見ると化粧品やシャンプー、スキンケア製品など、実に多くの製品で様々な植物・動物由来の成分が含まれています。しかし、自然のもの、自然由来のものが安全で安心という考えは、皮膚に使用するものでは必ずしも正しくないことが知られるようになってきました。特に注意すべきは食物由来成分の配合製品で、その危険性が注目されています。

その理由は、近年話題の経皮感作による食物アレルギーの発症です。特に乳幼児期の食物アレルギーは食物の経皮感作によるものが多いことは、過去のピーナッツオイルを使用していた幼児にピーナッツアレルギーの発症が多いという疫学的論文をはじめ、多くの論文で示されつつあります。

一方、成人では洗顔用の高級石鹸に含まれた加水分解小麦による感作が社会問題になりました。これは泡立てをよくする目的で添加されたものですが、感作された多くの成人女性が小麦アレルギー、特に小麦依存性運動誘発アナフィラキシーを発症したことはご記憶の方も多いと思います。また、化粧品に使用されている精製度の低い自然由来の成分が食品にも添加されていて、アナフィラキシーを発症することもあります。カイガラムシ由来のコチニール色素の入った頰紅や口紅を使用していた女性が、海外で購入した赤い菓子類でアナフィラキシーを生じる例がこれに当たります。

これらは食べるものを安易に皮膚に使用してはいけない、または皮膚に使用するものを安易に食品に添加してはいけないということを示しています。しかるに先日、企業の研究者から経皮感作が報告されているある食品の成分を取り出し、スキンケア製品をつくることについて意見を求められました。化粧品やスキンケアの分野で自然志向がますます強くなっている現在、安全性の確認について警鐘をならし続ける必要があることを強く感じた出来事でした。

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