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新専門医制度 あれこれ [炉辺閑話]

No.4837 (2017年01月07日発行) P.38

村上信五 (第117回日本耳鼻咽喉科学会会長、 名古屋市立大学耳鼻咽喉・頭頸部外科学教授)

登録日: 2017-01-02

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平成26年5月に一般社団法人日本専門医機構が設立され、平成29年度からプログラム制による新専門医制度がスタートする予定になっていた。しかし、地域医療の崩壊や基本領域学会の足並みが揃わないことを理由に1年遅れることになった。現在の専門医制度は各学会がプロフェッショナルオートノミーを掲げて30年以上も前に発足したが、学会認定であったため質の担保が疑問視され、専門医のインセンティブも付かなかった。そのような状況下に中立的第3者機関である一般社団法人日本専門医機構による新専門医制度が発足することになり、そのミッションは「専門医の質の向上」、「患者視点に立った医療体制の整備」、「医療の地域格差の是正」である。

それはさておき、現専門医から新専門医への更新は今年度から多くの基本領域学会で始まっている。そして、更新の条件として、従来の学術講習会参加単位以外に診療実績や専門医のための領域講習や共通講習の単位が加わった。そのため、今春から多くの学術講演会において、領域講習や共通講習が企画され、各地で混乱が生じている。

小生が主催した第117回日本耳鼻咽喉科学会総会・学術講演会も例外ではなかった。会期中に8コマの領域講習を企画したが、800名収容の第2会場を使用し、2000名収容できる第1会場は特別企画とした。学会1日目、早朝7:30頃から参加者がぞろぞろ受付ロビーに集まる。尋常ならぬ状況を察した事務局長は急遽、レストランを臨時サテライト会場とするよう指示を出した。これで延べ1300名の収容が確保できたと安心したのが皮算用。参加者が蟻のように領域講習に集まってくる。まさに行列のできる講習会である。会場に入れなかった会員から「今朝5時に起きて九州から来たのに、受講できないとはけしからん!」。何とか聴講できた会員からも「こんな年寄りに1時間も立たせるのか!」、罵声が飛び交った。一瞬、何の会?トラウマになった会場担当者もいた。

一方、知恵を絞って企画した第1会場の参加者は少なく、主催者としては残念であった。「領域講習を何故、第1会場で開催しないのだ!」との意見もあったが、「日本耳鼻咽喉科学会の総会・学術講演会はあくまで学術集会で専門医講習会ではありません!」と会長の意地を見せた。学術講演会の参加者は5000余名、そのうち専門医は約3000名、領域講習受講者は延べ1万2000余名であったことから、何と専門医は平均4つの講習を受講したことになる。専門医とて所詮「花より団子?」。

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