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小保方晴子氏とコンビニ [炉辺閑話]

No.4837 (2017年01月07日発行) P.139

原田種雄 (徳島市)

登録日: 2017-01-05

最終更新日: 2016-12-26

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私は、ときどきコンビニに行き、おにぎりを買うことがある。あるとき食べることを忘れて1週間ほど放置していたが腐敗はしていなかった。防腐剤のpH調整剤(アスコルビン酸と思われる)の効果と思われる。酸性やアルカリ性にすることで、細胞に影響を与えることは事実である。日本の寿司食品も酸性化により腐敗を防止して、広く流通している。しかし生殖細胞への影響は、少子化への現実から検討が必要かと思われる。

万能細胞を示すとされた緑色に輝く細胞は死滅前の細胞とか、混在したES細胞と発表された。しかし最初に見た動画の心臓のように拍動する物体は、ES細胞では見られないとの解説には、新しい万能細胞の出現を期待した。彼女は再現実験にも参加したが、結果を確かめる研究者が1人では、彼女の裏切られたとの言葉は重い。しかし、先端的な実験の多くは失敗する。この失敗を責めていれば研究はできないし、挑戦もできない。彼女自身がES細胞を混入したとするなら、監視つきの再現実験に参加するだろうか。

創造性を育てるには時間的、心理的余裕が大切である。その対極にいるのが燃え尽きた人々である。ときどき、医学的な講演を聴く機会があるが、その多くが外国文献の紹介で、自らの業績を述べることはほとんどなく、がっかりとした気分にさせられる。評論やコメント、非難をするだけの人々への感動はない。実験ノートへの記載が少ないと非難されたが、それは現場をよく知らない人の発言で、盗難を防ぐためで、正確な記載は安全な場所に保管しないと、紛失したときのダメージが大きい。惜しむらくは万能細胞の確実性を第三者にまかせずに、困難であるが、自分で確かめてもらいたかった。

水に落ちた犬は棒でたたけとは、どのような団体でも非倫理である。テレビドラマのセリフではあるが、失敗のあとには希望があると彼女に伝えたい。

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