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ガリレオと太陽系と未知なるもの [炉辺閑話]

No.4837 (2017年01月07日発行) P.99

佐田尚宏 (自治医科大学附属病院病院長)

登録日: 2017-01-04

最終更新日: 2016-12-26

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ガリレオ・ガリレイは1564年、北イタリア・トスカーナ地方、斜塔で有名なピサで生まれました。望遠鏡を用いた精密な天体観測から地動説を唱え、異端とされた宗教裁判の中で呟いたとされる「それでも地球は動く(E pur si muove)」という言葉は有名です。

私がガリレオに興味を持ったのは、宇宙の本を読み漁っていた小学生の頃、木星の4つの衛星(イオ、エウロパ、ガニメデ、カリスト)がガリレオ衛星と呼ばれていることを知ったからでした。

当時は米国のアポロ計画の最盛期で、1969年7月アポロ11号が月面に着陸し、火星に人類が移住することも夢として語られて、宇宙開発のバブル期とも呼べるような時期でした。宇宙や科学に惹かれた私にとって1970年の大阪万博も、大変刺激的な思い出として記憶に残っています。

木星には13個の衛星があるとされ、その外側の土星には環があり、さらにその外側の天王星、海王星、冥王星は内側の惑星の軌道のぶれから計算により存在が予測された後に発見されたことを知り、物理学の素晴らしさを感じたものでした。その後のボイジャー計画などで太陽系の探索が進み、現在木星には67個の衛星と3本の環が確認されています。

記念碑的な映画「2001年宇宙の旅」では、月面で再発見されたモノリスから強力な信号が木星に向けて発信され、HAL9000を搭載したディスカバリー号が木星の衛星エウロパに向かいます。続編の「2010年宇宙の旅」ではモノリスにより木星が恒星化し、エウロパでは地球と別系統の生物が進化を始めます。2017年現在、宇宙開発においてはアーサー・C・クラークの世界からは随分と立ち遅れていますが、太陽系では新たな発見が多数されています。2015年、ニュー・ホライズンズにより撮影された映像で大きなハート型の模様が印象的な冥王星は、当時地球ほどの大きさと考えられていましたが、実際は月よりも小さく、同規模の天体が同じような軌道に発見され、2006年に惑星から準惑星に格下げになりました。そして、その外側には未知の巨大惑星の存在が想定されています。人類の歴史は科学の世界ですら、いつも想定されていない方向に進みます。日本での医療需要がピークとされる2035年、どのような医療が展開されているのでしょうか。

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