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8K技術、腹腔鏡や病理診断に応用可能性 [総務省検討会報告書]

No.4815 (2016年08月06日発行) P.14

登録日: 2016-08-06

最終更新日: 2016-10-30

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総務省は1日、「8K技術の応用による医療のインテリジェント化に関する検討会」(座長=永井良三自治医大学長)の報告書を公表した。超高精細映像(8K)技術を腹腔鏡手術や病理診断に活用できるとして、国の総合的な支援の下、医療界・産業界が連携した開発推進体制を構築するよう求めている。
報告書では、従来の腹腔鏡は視野が狭く空間認識も困難であるため、開腹に比べて臓器損傷の発生率が高いと指摘。一方、腹腔内上部に8K腹腔鏡を固定すれば、俯瞰的な映像だけでなく特定の術野の拡大映像も見ることができ、手術リスクを低下できるとしている。術野を高精細に捉えることでがんの進展度などを把握できるため、取り残し防止にも期待を示している。
病理診断においては、細胞単位での観察や核内の染色体・核小体などの観察ができるようになり、術中に迅速診断を要する場合でも遠隔地の病理医に詳細な画像に基づき判断してもらうことが可能になるとしている。
課題としては、高精細さと明るさの両立、カメラやモニターの小型化・軽量化、データの圧縮・伝送・復元の技術的要件の確立などを挙げている。
報告書ではさらに、8Kが熟練医の手技の伝承など、モニターを介した医学教育に役立つ可能性を指摘。大量蓄積した高精細映像を人工知能と組み合わせれば、診断支援システムの整備にも利用可能との展望も述べている。
●用語解説
【8K(スーパーハイビジョン)】
解像度が現在放送されているハイビジョン(2K)の16倍に当たる3300万画素の次世代映像技術。広い視野、広い色域、高い立体感・実物感、高フレームレートなどの特色を持つ。NHKが今月よりBSで試験放送を開始。総務省は2020年東京五輪を機に一般への普及を目指す。

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