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【私の一冊】『笑う! 遺伝子』

No.4813 (2016年07月23日発行) P.73

髙井真司 (大阪医科大学大学院医学研究科創薬医学教授)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-01-23

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  • 「笑うことで、ヒトの遺伝子の働きが変化する」という仮説を実証すべく、漫才を見た後の血糖値を測定する。その結果は……(村上和雄著、一二三書房、 2004年刊)

    「笑い」で紐解く遺伝子学

    30年近く前、分子生物学的手法を用いた解析が脚光を浴び、その先駆的な研究として、レニン(アンジオテンシン産生系酵素)の全遺伝子暗号を村上和雄先生(筑波大学名誉教授)らが解読した。アンジオテンシン系の基礎研究に従事する私が、憧れの村上先生の執筆本を一般書籍で見つけたのは10年ほど前である。

    タイトルも内容もユニークで、「笑い」が体に与える影響を吉本興業と共同研究した内容であった。糖尿病患者に大学の先生の講義と漫才を視聴してもらったところ、漫才のほうが食後血糖値を低下させたそうである。そのことを科学的に解析したものが、糖尿病領域の一流雑誌に掲載されたのである。この血糖値の差は「悪玉ストレス(講義)」または「善玉ストレス(笑い)」による様々な遺伝子の発現量が増減した結果であった。

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