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自分の存在理由を再認識させてくれる患者さん[プラタナス]

No.4804 (2016年05月21日発行) P.3

石岡みさき (みさき眼科クリニック院長)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-01-24

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  • 私の専門はアレルギー疾患やドライアイ、角膜疾患であるが、薬剤や添加されている防腐剤による副作用にも興味があり、他院で処方された薬で治らないのはこの副作用では、と相談を受けることが多い。そのような診療を続ける中で、他の医者に相談に行くと前医に戻れないのでは、と不安に思う患者さんが多いことに気づいた。転院することだけが患者さんの希望ではない。治療方針が決まれば当院に通い続ける必要はないことをホームページでも明言するようにしたためか、専門領域に限らず自分が受けている治療に不安や不満を持つ患者さんが遠方からも来院されている。


    写真は遷延性角膜上皮欠損と呼ばれる状態である。この患者さんの場合、数回にわたる手術のために角膜輪部が疲弊し、角膜上皮が再生できない状態が続いていた。角膜上皮が欠損していると感染しやすくなり、最悪の場合、角膜実質が融解し穿孔する。まず行うべきは重症ドライアイに対する治療なのだが、前医で処方されていたのは感染予防の抗菌薬のみであった。患者さんはネットで検索し、自分の受けている治療が不十分ではないかと思い当院を受診、結局は角膜手術を行っている施設へ紹介となった。

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