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高所墜落を目の当たりにして…… [プラタナス]

No.4774 (2015年10月24日発行) P.1

清水敬樹 (東京都立多摩総合医療センター 救命救急センター部長/センター長)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-02-09

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  • 現場への医師出動要請のホットラインが鳴り、現場に到着してからかれこれ2時間が経過していた。「これはもう飛び降りないな」と私は隣にいたスタッフにそうつぶやいた。マンションの12階のベランダの手すりの上に立ち、飛び降りる仕草をしたり膝の屈伸を繰り返している男性(ちなみに現時点では傷病者ではない)を見て、自分の中ではそう確信していた。このようなケースにおいて、実際に飛び降りを遂行する場合には、時間経過として早い段階であることが多い。2時間も経過した場合には、「周囲の人々に構って欲しい」「自分に関心を持って欲しい」「自殺企図を未遂で終わらせるように助けて欲しい」というアクションに違いない。

    マンションのロビー周囲には大きなエアマットが敷かれていた。消防隊、レスキュー隊、救急隊、警察官、救命救急センタースタッフ、地域の住人などが地上から見上げ、12階の部屋からは男性を説得している警察官が何かを叫んでいた。ジュースでも飲もうかと考えていると、突然「キャーッ!」という悲鳴が聞こえたためマンションの12階を見上げると、男性がムササビのように手足を広げうつ伏せのまま落下してくる光景を目にした。あっという間にマンションのロビーの屋根に衝突した。我々は直ちにロビーに駆け寄り、先着したレスキュー隊、救急隊がロビーの屋根から地上に下ろした傷病者と接触した。呼吸、脈なしで心肺停止であった。手足は著明に変形しており胸部の肋骨も多発性に骨折していることは外見上でも明らかであった。

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