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一般診療所の開業と廃業についての統計的考察

No.4730 (2014年12月20日発行) P.63

小松大介 (株式会社メディヴァ取締役(医療機関経営コンサルタント))

登録日: 2014-12-20

最終更新日: 2016-12-12

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【Q】

最近,一般診療所(医院,クリニック,診療所)の開業が増えているように感じる。新規開業数と廃業数はどのように推移しているか。また,その動態の変化の要因は何であると言えるか,統計的な考察を。
鍼灸院などの施術所についてもわかれば併せて。 (大阪府 C)

【A】

まず一般診療所の開業件数は,厚生労働省の「医療施設調査」によれば,年々徐々に増加を続けており,平成24(2012)年度には10万件に達している。ただし,その伸びは徐々にゆるやかになっており,近年は,ほぼ横ばいに近い伸びとなった(図1)。
また,同様の調査において,年間の新規開業,廃業,休止,再開のデータを確認すると,年間の新規開業件数は十数年前の4000件強から,近年は約5000件で推移し,高めで安定していることがわかる。一方で,廃業の件数は,14,15年前の約3000件から,近年は5000件弱と大きく増加しており,新規開業件数にせまる勢いとなっている(図2)。
これらの状況の要因として考えうるのは,1点目に,単純な医師数の増加と職場としての病院の減少である。厚生労働省の「医師・歯科医師・薬剤師調査」によれば,医師数は,年々増加の一途をたどっており,近年は年間約8000人ずつ増え続け,2012年では30万3268人となった。
一方で,医師が職場として主に選んでいる病院は,前述の「医療施設調査」によれば,年々減り続け,1993年には9844件だった病院数が,2013年には8540件と,20年で13%の大幅な減少となった。病院1件当たりの大規模化も進んではいるものの,やはり病院そのものが減ることは,医師の就職先を減らす要因となり,結果として希望の就職先に勤められない医師による開業が続いていると考えられる。
もう1点の廃業数の増加については,開業医師の高齢化によるものと考えられる。「医師・歯科医師・薬剤師調査」によれば,開業医の年齢は,一番多いのが50歳代であり,60歳代,70歳代と徐々に減っている。医師の高齢化が進むと,60歳代,70歳代で廃業を考える医師も増えていくため,結果として廃業の件数が伸びていることが考えられる。
これらの結果から,一般診療所の新規開業数は,これまで伸びてきていたことは事実である。一方で,今後も新規開業自体は高水準の傾向が続くが,開業医の高齢化による廃業数も伸びることで,全体としての医院数はどこかで横ばいに転じることが予想される。
また,鍼灸院などの施術所については,厚生労働省の「衛生行政報告例(就業医療関係者)」に届け出施設のデータがあるが,これによれば,あんま・マッサージ・指圧施術所が減少に転じている一方で,柔道整復,はり・きゅう施術所は急激に増加傾向にあることがわかる(図3)。これは,これらの国家資格者を輩出する学校が増えていることと,結果として有資格者が増えていることが関係していると思われる。

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