日本医療機能評価機構は8月15日、「医療安全情報No.225」を公表した。画像診断報告書の重要所見について、端末の操作画面上のステータスが「既読」となっていたために主治医が閲覧済みと勘違いして見落とし、対応が遅れた事例を取り上げた。
こうした事例の報告は2021年1月〜25年6月までの間に3件あり、主治医以外の医師が画像診断報告書を開いた場合であっても、主治医が閲覧する報告書一覧画面のステータスが「既読」になってしまう院内システム上の問題が主な要因となっていた。
代表的な事例の発生経緯をみると、患者は構音障害で救急外来を受診し、頭部・胸腹部CT検査を実施後に入院した。この医療機関の院内システムは、検査をオーダーした主治医と同じ診療科の医師が画像診断報告書を開くと、主治医の画像診断報告書一覧画面でもステータスが「既読」になる仕組みだった。この事例でも主治医が画面を開いた時には当該患者の報告書のステータスが「既読」となっており、主治医は実際には報告書を閲覧していないことに気づかなかった。
退院後の外来受診で患者が痔出血を訴えたため、外来担当医が過去の画像を確認すると、6カ月前の救急外来受診時に実施した胸腹部CT検査の画像診断報告書に「直腸がん疑い」との記載があったことが発覚した。
機構は同様の事故を防止するには、自施設の画像診断報告書の未読・既読を管理するシステムがどのような仕組みになっているかを理解した上での運用や、主治医以外の医師が画像診断報告書を開くことで「既読」となるシステムは、主治医が画像診断報告書を読んでいないことに気づかないリスクがあると認識することが重要だと指摘。事例が発生した医療機関では、主治医以外の医師が画像診断書を確認した際に重要所見が記載されていた場合には、主治医に確実に伝える取り組みが現在行われていることも紹介した。