厚生労働省は7月28日の社会保障審議会介護保険部会に、介護情報基盤の稼働に伴う介護被保険者証の事務や運用等の見直し案を示した。基盤に格納された被保険者資格情報等の活用を通じ、利便性の向上や事務負担・コストの軽減を図る。
介護情報基盤は、自治体・利用者・介護事業所・医療機関等が介護関連情報を共有・閲覧するための仕組みで、26年4月以降、準備ができた自治体から順次運用を開始する。
厚労省はこれに合わせて、(1)介護被保険者証の交付、(2)介護被保険者証に関する事務の取り扱い、(3)サービス利用時の本人確認―などの運用を見直す方針を示した。
(1)の介護被保険者証は現在、65歳到達時に交付されるが、要介護認定申請時に紛失しているケースがみられるため、要介護認定申請時の交付に変更することを提案した。
(2)については、介護被保険者証とは別に負担割合証と負担限度額認定証も発行され、利用者の管理の手間が増えている現状を指摘。基本的に変更がない情報(被保険者番号や氏名等)と定期的に変更があり得る情報(要介護度や負担割合、負担限度額等)を分ける方向で整理する案を示した。その際、変更があり得る情報についてはマイナポータルでの確認に加え、定期的に情報が確認できるものを配布することを提案した。
(3)では現在はサービス利用の都度必要な本人確認について、初回(サービス利用開始時)は引き続き介護被保険者証やマイナンバーカードによる本人確認を必須とする一方、2回目以降は簡素化する案を提示した。
このほか、介護保険資格確認等WEBサービスを利用して介護情報基盤にアクセスする際の本人確認方法について、介護被保険者証の確認と、本人目視とマイナンバーカードの読み取り(ただし、医療保険のマイナ保険証としての事前登録が必要)の二本立てとすることも提案。介護被保険者証による確認の場合は事業者が被保険者番号等の情報を手入力しなければならないが、マイナカードの場合はスマートフォン等で読み取ったデータが自動入力されるため、事務負担の軽減や入力ミスを防げるメリットがあると説明した。次回以降の部会で見直し案に関する議論を行う。