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■NEWS 退院時の処方漏れによる内服の中断で注意を喚起―医療安全情報

登録日: 2025-07-23

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日本医療機能評価機構は715日、「医療安全情報No.224」を公表した。退院後に服用すべき薬剤が退院処方から漏れたために内服が中断した事例を取り上げ、注意を喚起した。

機構へのこうした事例の報告は、20201月〜255月の間に6件あった。定期処方とは別に処方していた薬剤であったことや、併診の診療科が処方していた薬剤であったことが事例発生の主な背景要因となっていた。

代表的な報告事例をみると、事例1の患者は皮膚筋炎とステロイド性糖尿病の治療のために入院していた。担当医はプレドニンの投与量を調整していたため、当該薬剤を定期処方とは別に処方していた。プレドニンについては退院時から減量予定であったため、担当医は上級医に投与量を確認した後、退院処方に追加するつもりだったが、失念。看護師も退院処方にプレドニン錠がないことに気づかなかった。その結果、患者は退院後に意識障害を来たし、救急搬送された。

事例2の患者は膀胱がんの治療のために泌尿器科に入院していた。出血性十二指腸潰瘍を認め、消化器内科の医師が内視鏡を用いて止血し、タケプロン静注用の投与を開始した。食事再開後は消化器内科医師が薬剤をタケキャブ錠の内服に変更した。ところが退院の際、泌尿器科、消化器内科のどちらの診療科がタケキャブ錠を処方するかの確認を怠り、同剤が処方されなかった。そのため患者は退院後に十二指腸潰瘍から再び出血し、再入院となった。

機構は事例が発生した医療機関で、医師が病歴や治療経過から必要な薬剤が処方されていることを確認する、薬剤師・看護師は退院後に内服すべき薬剤が退院処方から漏れていないかを確認するといった取り組みが行われていることを紹介。その上で特に、①定期処方とは別に処方していた薬剤、②併診の診療科が処方していた薬剤、③注射薬から内服薬に変更した薬剤、④一時休薬していた薬剤―は退院処方から漏れやすいと指摘し、留意を促した。

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