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一体改革の進捗を制度横断的に点検 - 経済成長との整合性も視野に [社会保障制度改革推進会議] 

No.4709 (2014年07月26日発行) P.5

登録日: 2014-07-26

最終更新日: 2016-11-17

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【概要】社会保障制度改革の進捗状況を確認する政府の有識者会議が17日、初会合を開いた。国民会議の後継組織として医療・介護など4分野の改革を制度横断的な視点で議論する。


同会議は、団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けて社会保障4分野(医療、介護、年金、少子化対策)の改革の進捗状況を確認するもの。政府が17年度までに実施する社会保障制度改革の実施スケジュールを定めた「プログラム法」で設置が規定されている。制度改革の方向性を議論した「社会保障制度改革国民会議」(12年11月~13年8月)の後継会議に位置づけられており、11人の委員(別掲)のうち7人は国民会議から引き続き参加。議長には国民会議で座長を務めた清家篤慶應義塾長が就いた。

●安倍首相「受益と負担の均衡とれた改革に」
17日の会合では今後の議論の方向性について意見交換が行われた。安倍晋三首相は、「2025年に向けて受益と負担の均衡を図る必要がある。すべての世代が相互に支え合う制度に変えていくべきだ」と述べ、地方の役割強化なども含めた「制度横断的な視点」で議論を進めるよう要請した。
遠藤久夫委員は「医療・介護では提供体制と財政の両面を見るべきだ」と指摘。土居丈朗委員は「社会保障審議会など各分野の議論は尊重しつつ、そこではできない議論をしたい」と述べ、医療と介護の連携や給付と税制の均衡を巡る議論に意欲を見せた。
会合ではまた、「成長戦略との相互補強関係を作ることが重要」(神野直彦委員)、「雇用インセンティブを起こし、持続的な成長に資する改革にしなくてはならない」(武田洋子委員)など、経済成長との整合性も視野に入れた議論を求める意見が相次いだ。
会議終了後に会見した清家議長は、「社会保障と経済成長の関係、人口減少が制度に及ぼす影響、国と地方の役割分担も重要な視点」と述べた上で、改革の進捗状況を確認するだけでなく、年金制度改革や高齢者雇用など25年以降を見据えた中長期的課題の議論も進める考えを示した。また、その際に首相から諮問があれば、報告書をとりまとめるとした。

●医療・介護分野の議論は今秋以降
同会議は今後、9月頃に開く次回会合で年金、少子化対策について議論し、10月末~11月に開く第3回で医療・介護分野の議論に入る。医療分野では、市町村国保の広域化など国保改革を中心とした議論が行われる見通し。医療・介護の議論では、現場の有識者を臨時委員として招き意見交換を行う。

【記者の眼】議長代理の増田寬也氏は会合の中で「制度改革に当たっては人口急減社会という現実を直視すべきだ」と指摘した。一方、経済財政諮問会議では伊藤元重氏ら民間議員が「2050年で人口1億人を維持する」構想を提言しており、他の政府会議との横の連携も注目される。(F)

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