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日本人の睡眠問題の課題と対策は?〜柳沢正史(筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構長)【この人に聞きたい】

No.5184 (2023年09月02日発行) P.6

柳沢正史 (筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構長)

登録日: 2023-09-04

最終更新日: 2023-08-31

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「睡眠科」の標榜や睡眠健診の導入で
国として日本人の睡眠問題に取り組む体制づくりを
すべての医師が基礎的な睡眠疾患の診療ができるように

やなぎさわ まさし:1988年筑波大学基礎医学系博士課程修了。91年より米テキサス大とハワードヒューズ医学研究所で24年間研究室を主宰。2012年より現職。覚醒状態を維持する脳内神経伝達物質オレキシンを発見し、睡眠メカニズムに関わる研究に携わる。23年自然科学における国際的な学術賞・ブレークスルー賞受賞。

昨年11月、超党派の「国民の質の高い睡眠のための取り組みを促進する議員連盟」(睡眠議連)が発足し、今年4月には2回目の総会を開いた。日本人の睡眠に関する課題とその対策について、国際的に著名な睡眠研究者で日本睡眠学会理事、筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構(IIIS)機構長の柳沢正史氏に聞いた。

睡眠障害の潜在患者は多いのに専門医は不足

─睡眠問題に国として取り組むべき理由を教えて下さい。

日本人の平均睡眠時間は世界一短く、睡眠不足の人が多いことは様々な国際的データで示されています。それがどうしてなのかはわかっていませんが、明らかに社会的な要因です。

日本睡眠学会が特に問題視しているのは、適切な診断・治療を受けていない睡眠障害の潜在患者が非常に多いことです。たとえば、睡眠時無呼吸症候群の中等症以上で治療が必要なレベルの人は900万人、慢性不眠症の人は1000万人以上と推計されます。また、不登校の中高生の多くが、概日リズム睡眠障害です。

ところが、日本睡眠学会認定の専門医は全国に約600人しかおらず、1人しか専門医がいない県もあります。睡眠検査のゴールドスタンダードである睡眠ポリグラフ(PSG)検査ができる医療機関は全国に約300カ所しかなく、1000万人以上もの患者の診断・治療ができる体制ではありません。

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