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【文献 pick up】糖尿病に至る以前からCOPD発症リスクには要注意―UK Biobank解析/DOM誌

宇津貴史 (医学レポーター)

登録日: 2023-06-09

最終更新日: 2023-06-09

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糖尿病(DM)例の約1割は慢性閉塞性肺疾患(COPD)を合併している[Minakata Y, et al. 2008Kerr EA, et al. 2007。さらにDM例ではCOPD発症リスクが22%有意に増加すると報告した観察研究もある[Ehrlich SF, et al. 2010

しかしこのような関係は「DM」に至る前から始まっているようだ。また喫煙者と非喫煙者ではDMCOPDに与える影響が異なっている可能性もある。"Diabetes, Obesity and Metabolism"誌5月29日掲載の論文を紹介したい。著者は中国・南京医科大学のJian Su MM氏らである。

同氏らが解析対象としたのは、英国の自主参加住民コホート"UK Biobank"に登録された、COPD診断歴のない452680例である。

平均年齢56.8歳、女性が54.8%を占めた。

また6.0%が「DM」、11.8%は「preDM」(非DMHbA1c5.7%以上6.5%未満)だった(いずれも過去の診断歴や検査値、使用薬から判断)。

これらを12.3年間(中央値)観察したところ、1万2598例(2.8%)がCOPDを発症した。

そして観察開始時DM例では非DMの参照例(HbA1c5.7%未満)に比べ、COPD発症ハザード比(HR)は1.35(95%信頼区間[CI]1.241.47)と有意に高くなっていた。

preDM例でも同様で、COPD発症HR1.1895%CI1.131.24)の有意高値だった。

次にDM罹患期間とCOPD発症リスクの関係を見ると、非喫煙者では両者に相関を認めなかった一方、喫煙者では発症後およそ13年間は参照例に比べDM例で有意に高い発症リスクを認めたが、その後は有意差を認めなかった。

DM例だけでなくpreDM例でもCOPD発症リスクが増加していたため、それらの表現型として出現する以前から、糖代謝異常の進展そのものがCOPDリスクを増加させている可能性を原著者たちは考えている。機序として想定しているのは高インスリン血症のようだ[Singh S, et al. 2016

また同氏らは今後、血糖コントロールがCOPD発症リスクを低減できるか、この点も検討する必要があるとする。

なおすでにCOPDを発症しているDM例では、SGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬のCOPD増悪抑制作用がSU剤に比べ強いとする、大規模観察研究が報告されている(DPP-4阻害薬はSU剤と有意差なし)[Pradhan R, et al. 2022

本研究には申告すべき利益相反はないとのことである。

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