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■NEWS 【欧州心臓病学会(ESC)】スコアを用いた「DAPT期間個別化」で「12カ月間DAPT」よりNACEは減少:RCT"PARTHENOPE"

登録日: 2025-09-16

最終更新日: 2025-09-16

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PCI施行後の至適「抗血小板薬併用」(DAPT)期間をめぐっては、様々な検討が行われてきた。しかし臨床現場の感覚としては、「患者のリスクに応じ、最適な期間を設定したい」が本心ではなかろうか。

PCI後の血栓症・出血リスク評価ツールとしては、すでにDAPTスコア(後述)が報告されている[JAMA. 2016]。しかし意外なことに、同スコアを用いたDAPT期間個別化が転帰に及ぼす影響を検討したランダム化比較試験(RCT)はなかったという。

829日からマドリッド(スペイン)で開催された欧州心臓病学会(ESC)学術集会では、この点を初めて検討したRCT"PARTHENOPE"が報告され、DAPT期間個別化の有用性が示された。報告者は、ナポリ大学(イタリア)のRaffaele Piccolo氏。

【対象】

PARTHENOPE試験の対象は、PCIを施行した急性冠症候群(ACS)/慢性冠症候群(CCS:旧来の安定冠動脈疾患)2107例である。76%ACS例で、DAPTスコア中央値は「2」だった(59%が「≧2」)。

【方法】

これら2107例を、通常のDAPT12カ月継続」群と、「DAPTスコア」の高低に応じてDAPT期間を決めるDAPT「期間個別決定」群にランダム化した。「期間個別決定」群ではDAPT期間を、「DAPTスコア」が「>2ならば「24カ月」、「2ならば「ACS例は6カ月」、「CCS例は3カ月」とした。

なおDAPTスコアは、12カ月以上にわたるDAPTのリスク/ベネフィット評価のために開発された(-2点~10点)。算出には年齢に加え「喫煙、糖尿病、心筋梗塞(MI)、MIPCI既往、パクリタキセル溶出ステント、心不全/左室駆出率低下、静脈グラフト」の有無と「ステント径」が用いられる[JAMA. 2016]。

【結果】

2年間観察の結果、1次評価項目である「死亡・MI・緊急責任血管血行再建(TVR)・脳卒中・BARC要措置/大出血」(有効/有害評価項目[NACE])発生率は、DAPT「期間個別決定」群が18.6%で、「12カ月継続」群の22.2%に比べ有意低値となっていた。

両群のカプランマイヤー曲線は、1年過ぎまで「12カ月継続」群が下を走っていたが、その後逆転し、「期間個別決定」群のほうが下方に回った(比例ハザードの前提崩壊)。しかし比例ハザードを前提としない解析でも、両群間には有意差を認めたという(オッズ比:0.8095%CI0.640.99)。

内訳を見ると、両群間の差が著明だったのは「MI」と「緊急TVR」だった。「要措置/大出血」は「12カ月継続」群で0.4%の高値傾向を認めたのみだった。なお亜集団解析からは、75歳以上であれば、DAPT12カ月継続」群のほうが「期間個別決定」群よりもNACEリスクは低い可能性が認められた(年齢による交互作用P0.002)。

本試験はナポリ大学から資金提供を受けた。外部からの資金提供はないとのことである。また論文は報告と同時にJACCウェブサイトに掲出された。

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