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医療計画と在宅医療[私の治療]

No.5167 (2023年05月06日発行) P.47

太田秀樹 (医療法人アスムス理事長)

登録日: 2023-05-08

最終更新日: 2023-05-01

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  • 医療法は,1948(昭和23)年に制定された「医療提供体制」を定める法律で,医療施設(病院,診療所,助産所等)で医業を行う上での根幹の法規である。本法は,医療を享受する国民の利益を保護し,良質で適切な医療を効率的に提供する体制確保を目的としている。国民の健康の保持に寄与する法律と言える。

    ▶医療法の内容

    医療法は,9つの章と附則から構成され,医療提供体制は第5章に規定されている。条文は,第30条の3~第38条(第32条、第33条、第36条~第38条は削除)に及び,良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保のため,医療計画の策定や医療従事者の確保等が記されている。

    ▶医療法改正と医療計画

    医療法は現在まで8回の改正を経ているが,第1次医療法改正は1985(昭和60)年で,制定から約40年間大きな改正はなかった。しかし,高齢化社会へ突入し,人口構造の変容と医療需要の変化,同時に医療の高度先進化に基づく医療費の高騰などを背景に,医療資源の効率的活用のため医療機関の機能分担や連携の促進が,医療計画に盛り込まれることとなった。医療圏内の病床数に制限がかかり,総量規制の始まりでもある。

    居宅を医療提供の場として位置づけ,在宅医療の推進が医療法上に盛り込まれたのは,1992(平成4)年の第2次医療法改正においてである。特定機能病院および療養型病床群が制度化され,病床機能の類型化や診療報酬における包括支払い制度が始まった。

    1997(平成9)年の第3次医療法改正では,地域医療支援病院制度が創設され,在宅における介護サービスの在り方や医療機関相互の機能が明確にされ,病院完結型医療から地域完結型医療へと地域医療のパラダイムの転換が始まった。病院機能と在宅医療機能が互いに補完し合う関係性であることが,法制度において明確化された。

    2000(平成12)年には介護の社会化を掲げ,在宅療養の推進をめざした介護保険制度が施行され,在宅医療の重要性が改めて社会で共有された。同時に第4次医療法改正が行われている。さらに,2006(平成18)年の第5次医療法改正では,医療計画の見直しの一環として,医療機能の分化と地域医療の連携体制が強化され,在宅医療の確保に関する事項が医療計画に盛り込まれることとなった。

    ▶地域医療構想について1)

    2014(平成26)年6月に成立した医療介護総合確保推進法(地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律)に盛り込まれた地域包括ケアシステム(「在宅医療と地域包括ケアシステム」の稿参照)構築のため,医療および介護の総合的な確保の推進を受け,第6次医療法改正が実施され,地域医療構想(医療法第30条の4に規定)が導入された。

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