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特集:SGLT2阻害薬を用いた新しい治療戦略─糖尿病×心不全×慢性腎臓病

No.5145 (2022年12月03日発行) P.18

岩﨑慶一朗 (岡山大学大学院医歯薬総合研究科循環器内科学)

伊藤 浩 (岡山大学大学院医歯薬総合研究科循環器内科学教授)

登録日: 2022-12-02

最終更新日: 2022-12-01

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岩﨑慶一朗:2012年岡山大学医学部卒業。倉敷中央病院,国立循環器病研究センター移植医療部を経て,2020年より現職。循環器内科専門医,移植認定医,植込型補助人工心臓管理医等。

1 SGLT2阻害薬とは?
・SGLT2阻害薬とは,当初,2012年に糖尿病治療薬として認可された血糖降下作用を有する薬剤である。
・一部のSGLT2阻害薬は糖尿病のみならず心不全や慢性腎臓病(CKD)において有効性が認められ,適応に追加された。

2 SGLT2阻害薬の作用機序
・SGLT2は腎臓の近位尿細管に発現し,尿細管側から血液側へナトリウムとグルコースを共輸送することで糖の再吸収を行う。
・SGLT2阻害薬には,SGLT2を阻害することで尿への糖排泄を促進する血糖降下作用がある。さらに,ブドウ糖排泄による浸透圧利尿と,ナトリウム利尿効果がある。

3 糖尿病治療薬から心不全・慢性腎臓病(CKD)治療薬へ
・2015年,SGLT2阻害薬は糖尿病治療薬として初めて心血管複合イベント(心血管死,心筋梗塞,脳卒中)を主要エンドポイントとする2型糖尿病を対象とした試験(EMPA-REG OUTCOME試験)で有効性を示した。
・その後,心不全やCKDを対象とした試験で糖尿病の有無に関わらない心・腎イベントの抑制効果が示された。

4 糖尿病・心不全・慢性腎臓病(CKD)治療における位置づけ
・2型糖尿病において,SGLT2阻害薬はメトホルミンやGLP-1受容体作動薬と並んで第一選択薬として使用される薬剤となりつつある。
・SGLT2阻害薬は,既に左室駆出率の低下した心不全(HFrEF)における予後改善を目的とした標準治療薬のひとつである。左室駆出率の保たれた心不全(HFpEF)においても心不全イベント抑制を目的に投与が推奨される薬剤となりつつある。
・CKDにおいても,SGLT2阻害薬は投与が推奨される薬剤となりつつある。

5 SGLT2阻害薬をどう使う? ─実際の使用法─
・現在,わが国では6成分6製剤が使用可能で,適応疾患および用量・用法は製剤ごとに異なる。
・すべての製剤が1日1回投与である。
・2型糖尿病のみならず心不全およびCKDでイベント抑制効果が示されているSGLT2阻害薬は,現時点でダパグリフロジンとエンパグリフロジンの2つである。

6 SGLT2阻害薬使用時の注意点
・尿への糖・ナトリウム排泄促進が主たる作用機序と推定され,eGFR 20~30mL/分/1.73m2未満における有効性は明らかではない。
・泌尿生殖系感染症に注意する。
・糖尿病治療薬と併用して使用するときにはケトアシドーシス(特に正常血糖ケトアシドーシス)に注意する。
・軽い降圧・利尿効果があり,脱水に注意する。

伝えたいこと…
SGLT2阻害薬は単なる血糖降下薬ではなく,イベント抑制効果を期待して投与すべき2型糖尿病・心不全・CKD治療薬となりつつある。今後の使用拡大が予想されるが,特有の薬理作用・副作用に注意すべきである。

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