株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

洞不全症候群[私の治療]

No.5121 (2022年06月18日発行) P.42

高橋尚彦 (大分大学医学部循環器内科・臨床検査診断学講座教授)

登録日: 2022-06-20

最終更新日: 2022-06-14

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 洞機能不全は,洞結節細胞もしくは周囲心房筋の加齢に伴う変性,線維化等が主な病態であり高齢者に多い。洞不全症候群(sick sinus syndrome)の定義は,「洞性徐脈,洞停止,洞房ブロック等による徐脈が原因となり,失神,痙攣,眼前暗黒感,めまい,息切れ,易疲労感などの脳虚血症状および心不全症状を呈する状態」である。したがって,心電図所見だけでは洞不全症候群の診断はできない。

    ▶診断のポイント

    【症状】

    失神,痙攣,眼前暗黒感,めまい,息切れ,易疲労感を自覚することが多い。

    【検査所見】

    洞不全症候群の心電図所見の分類としてRubenstein分類が用いられる。Ⅰ型は50回/分以下の洞性徐脈が持続する場合,Ⅱ型は洞停止あるいは洞房ブロック,Ⅲ型は徐脈頻脈症候群である。12誘導心電図やホルター心電図でこれらの心電図所見が得られない場合,体外式イベントレコーダ,植込み型ループレコーダが有用である。症状が運動時に出現する場合は,運動時の心拍応答不全が疑われるため,運動負荷心電図を行うことが望ましい。基礎心疾患の把握のために心エコー図検査も施行すべきである。臨床心臓電気生理検査の積極的な適応はない。しかし,失神等の症状から徐脈性不整脈が強く疑われるものの心電図所見が得られていない場合,心房刺激による洞房伝導時間の計測,オーバードライブ抑制試験による洞結節自動能の評価が洞不全症候群の診断に補助的に有用なことがある。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    【徐脈に伴う症状の確認】

    徐脈があっても,脳虚血症状や心不全症状がなければ病的とは言えない。よく鍛えられたアスリートには生理的な洞性徐脈が認められる。したがって,洞不全症候群の診断においては,脳虚血症状や心不全症状があり,それが徐脈に起因することを確認することが重要である。

    【薬剤の影響】

    β遮断薬,Ca拮抗薬(ベラパミル,ジルチアゼム),ジギタリス,Ⅰ群およびⅢ群抗不整脈薬によっても洞性徐脈が生じる。これらの薬剤が必要不可欠か否かを判断する。

    【徐脈頻脈症候群】

    最近,高齢者を中心に増えているのが,心房細動停止時に洞停止,洞徐脈を呈する徐脈頻脈症候群である。失神を伴う場合は緊急性が高い。この場合,心房細動アブレーションで発作性心房細動が消失すればペースメーカ治療は回避できる。「不整脈非薬物治療ガイドライン(2018年改訂版)」でも,徐脈頻脈症候群を伴う発作性心房細動はカテーテルアブレーションがクラスⅡaで推奨されている1)

    残り946文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    公立小浜温泉病院

    勤務形態: 常勤
    募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・消化器外科 各1名
    勤務地: 長崎県雲仙市

    公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
    現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
    2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
    6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

    当病院は島原半島の二次救急医療中核病院として地域医療を支える充実した病院を目指し、BCR等手術室の整備を行いました。医療から介護までの医療設備等環境は整いました。
    2022年4月1日より脳神経外科及び一般外科医の先生に常勤医師として勤務していただくことになりました。消化器内科医、呼吸器内科医、循環器内科医及び外科部門で消化器外科医、整形外科医の先生に常勤医師として勤務していただき地域に信頼される病院を目指し歩んでいただける先生をお待ちしております。
    又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。透析数25床の能力を有しています。15床から開始いたしましたが、近隣から増床の要望がありお応えしたいと考えますが、そのためには腎臓内科(泌尿器科)医の先生の勤務が必要不可欠です。お待ちいたしております。

    ●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
    今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問看護、訪問介護、訪問診療体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top